中学2年生で学ぶ「図形の合同と証明」は、計算だけでなく、「論理的な思考力」が試される、まさに数学の大きな山場です。
しかし、心配しないでください!
ここで学ぶことは、まるで探偵が証拠を集めて犯人を突き止めるような、エキサイティングな思考のパズルです。
基本となる「合同」の意味から、最強の武器となる「三角形の合同条件」、そして実際の「証明の書き方」まで、ステップ・バイ・ステップで徹底的に解説します。
まず、「合同(ごうどう)」という言葉の意味をしっかり理解しましょう。
合同とは: 2つの図形が、形も大きさもまったく同じで、移動したり裏返したりするとぴったりと重ね合わせることができる関係のことです。
記号: 図形Aと図形Bが合同であることを、A ≡ B という記号で表します。
対応する点・辺・角: ぴったり重ねたときに重なり合う点、辺、角を、それぞれ「対応する頂点」「対応する辺」「対応する角」と呼びます。
合同な図形では、対応する辺の長さはすべて等しく、対応する角の大きさもすべて等しくなります。
これが、証明のゴールとして使われることが多い、非常にパワフルな性質です。
2つの三角形が合同であることを示すには、すべての辺と角を調べる必要はありません。
これから紹介する3つの条件のうち、どれか1つでも満たせば、それらの三角形は「絶対に合同だ!」と断定できます。
これが「三角形の合同条件」です。
これを、証明のための「3つの必殺技」として覚えましょう!
条件: 2つの三角形の、3つの辺の長さがそれぞれ等しい。
イメージ: 3本の長さが決まった棒で三角形を作ると、誰が作っても同じ形の三角形しかできない。
条件: 2つの辺の長さと、その2辺に挟まれた角の大きさがそれぞれ等しい。
【注意!】: 角の位置が「間」であることが絶対条件です。
条件: 1つの辺の長さと、その辺の両端にある2つの角の大きさがそれぞれ等しい。
【注意!】: 2つの角が、辺の「両端」にあることが絶対条件です。
「証明」とは、与えられた情報(仮定)と、図形の基本的な性質(対頂角など)を証拠として使い、結論が正しいことを誰にでも分かるように筋道を立てて説明することです。
以下の5ステップの型をマスターすれば、どんな証明問題も怖くありません。
下の図で、AB = DC, AB // DC のとき、AD = CB となることを証明しなさい。
A ------ B
\ /
\/
/\
/ \
D ------ C
(対角線ACを引く)
仮定(使える証拠): AB = DC と AB // DC
結論(ゴール): AD = CB
結論の AD と CB をそれぞれ辺に持つ2つの三角形を探します。
この場合は △ADC と △CBA に注目します。
ステップ2で見つけた2つの三角形 △ADC と △CBA について、等しい辺や角を3つ探します。
「なぜ等しいのか?」という根拠(理由)を必ずセットで書きます。
DC = BA (理由:仮定より)
∠DCA = ∠BAC (理由:AB // DC で、平行線の錯角は等しいから)
AC = CA (理由:2つの三角形で共通な辺だから)
3つの証拠が集まったので、合同を宣言します。
【重要!】 三角形の頂点は、対応する順に書きます。
(△ADC ≡ △CBA)
「1, 2, 3より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので、△ADC ≡ △CBA」
合同な図形が証明できたので、あのパワフルな性質が使えます!
「合同な図形の対応する辺は等しいので、AD = CB」
(証明)
△ADC と △CBA において、
仮定より、 DC = BA ...①
AB // DC より、平行線の錯角は等しいので、
∠DCA = ∠BAC ...②
共通な辺なので、 AC = CA ...③
①, ②, ③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので、
△ADC ≡ △CBA
合同な図形の対応する辺は等しいので、
AD = CB
(証明おわり)
証明問題は、パズルのピースをはめていくようなものです。
ゴール(結論)を確認する。
どの三角形に注目するか決める。
3つの合同条件のうち、どれが使えそうか考えながら、3つの証拠(等しい辺や角)と、その根拠を探す。
合同を宣言し、結論を述べる。
この流れを体に染み込ませることが、証明問題をマスターする一番の近道です。
最初は難しく感じるかもしれませんが、練習を重ねるうちに、図形の中に隠された証拠がどんどん見えるようになってきます。