中学3年生で学ぶ「式の展開と因数分解」は、今後の数学(特に二次方程式や関数)の学習すべてに関わる、計算分野の最重要単元です。
一見複雑に見えますが、「展開」と「因数分解」がコインの裏表のような逆の関係にあることを理解すれば、攻略は難しくありません。
ここでは、計算を劇的に速く、正確にするための「乗法公式」を中心に、その使い方を徹底解説します。
「展開」とは、カッコでまとめられた多項式のかけ算を、計算してカッコがない状態にすることです。
基本は、中学2年生で学んだ「分配法則」です。
aをcとdに、bをcとdに、合計4回公平にかけ算します。
(a+b)(c+d) = ac + ad + bc + bd
しかし、毎回これを行うのは大変です。
そこで、特定のパターンを公式化した「乗法公式」を覚えることで、計算をショートカットします。
これは必須の暗記事項です!
公式①:(x+a)(x+b) = x² + (a+b)x + ab
特徴: xの部分は同じで、後ろの数字(a, b)が違うパターン。
覚え方: 「和(た)してxの係数、積(か)けて定数項」
例: (x+2)(x+3)
和: 2 + 3 = 5
積: 2 × 3 = 6
答え: x² + 5x + 6
公式②:(x+a)² = x² + 2ax + a² (平方の公式)
特徴: まったく同じものが2つかけられている(2乗)パターン。
覚え方: 「左の2乗、2倍の左右、右の2乗」
例: (x+4)²
左の2乗: x²
2倍の左右: 2 × x × 4 = 8x
右の2乗: 4² = 16
答え: x² + 8x + 16
公式③:(x-a)² = x² - 2ax + a² (平方の公式)
特徴: 公式②の真ん中がマイナスになったバージョン。
覚え方: 公式②と同じ。「左の2乗、マイナス2倍の左右、右の2乗」
例: (x-5)²
左の2乗: x²
-2倍の左右: -2 × x × 5 = -10x
右の2乗: (-5)² = 25
答え: x² - 10x + 25
公式④:(x+a)(x-a) = x² - a² (和と差の積の公式)
特徴: xとaの符号だけが違う、プラスとマイナスのペアのパターン。
覚え方: 「2乗ひく2乗」
例: (x+7)(x-7)
xの2乗: x²
7の2乗: 49
答え: x² - 49
「因数分解」とは、展開のまったく逆の操作です。
x² + 5x + 6 のようなバラバラの式を、(x+2)(x+3) のようなカッコのかけ算(積)の形に戻すことを指します。
因数分解には、解くための決まった手順があります。
この順番通りに考えるのが攻略の最大のコツです。
まず、式のすべての項に共通してかけられている数や文字(共通因数)がないかを探します。
あれば、それをカッコの外に出します。
例: 3ax² + 6ay
すべての項に 3 と a が共通しています。
→ 共通因数は 3a
3a をカッコの外に出すと、3a(x² + 2y) となります。
どんな因数分解の問題でも、最初に必ずこれをチェックする癖をつけましょう!
共通因数がない、またはくくり出した後、次に乗法公式が使えないかを疑います。
展開公式を逆から見るだけです。
x² + (和)x + (積) の形 → 公式①の逆 (x+a)(x+b)
「かけてab、たしてa+bになる2つの数」を探すゲームです。
例: x² + 7x + 12
かけて 12、たして 7 になるペアは? → 3と4
答え: (x+3)(x+4)
x² + 2ax + a² の形 → 公式②の逆 (x+a)²
見分け方: 式の両端が何かの2乗になっていたら、この形を疑います。
例: x² + 14x + 49
x² は x の2乗、49 は 7 の2乗。
真ん中の項が 2 × x × 7 = 14x になっているので、ビンゴ!
答え: (x+7)²
x² - a² の形 → 公式④の逆 (x+a)(x-a)
見分け方: 「2乗ひく2乗」の形は、最も見つけやすいパターンです。
例: x² - 64
x² は x の2乗、64 は 8 の2乗。
答え: (x+8)(x-8)
因数分解が終わったら、カッコの中がもうこれ以上因数分解できないか、最後に確認しましょう。
展開:カッコをはずしてバラバラにする計算。
因数分解:バラバラの式をカッコの積の形にまとめる計算。
この2つは逆の操作であり、乗法公式を覚えることが両方の計算スピードと正確さを上げる鍵となります。
この単元は、練習量がそのまま実力に結びつきます。
たくさんの問題を解いて、公式を体で覚えるくらい使いこなせるようになりましょう。
これができれば、二次方程式の攻略は目前です!