「平行線と線分の比」に関する定理は、中学3年生で学ぶ相似の単元の中でも、特に辺の長さを求める計算問題で絶大な効果を発揮する非常に重要なツールです。
見た目は少し複雑ですが、基本となる形はたった一つです。
ここでは、基本の定理から、その応用形である「中点連結定理」まで、分かりやすく解説していきます。
この定理のすべての基本となるのが、三角形と平行線でできた「ピラミッド」のような形です。
△ABCにおいて、辺AB, AC上の点をそれぞれD, Eとするとき、
もし DE // BC ならば、
AD : AB = AE : AC = DE : BC
AD : DB = AE : EC
が成り立つ。
A
/ \
/ \
a / \ b
/ e \
D---------E
/ \
c / \ d
/ \
B-----------------C
f
定理1(大きい三角形 vs 小さい三角形):
a : (a+c) = b : (b+d) = e : f
これは、△ADE ∽ △ABC であることから導かれます。
斜めの辺だけでなく、底辺(DEとBC)の比も等しくなるのがポイントです。
定理2(辺のパーツどうしの比):
a : c = b : d
これは、辺ABの切れ端の比と、辺ACの切れ端の比が等しくなるというものです。
この関係は、底辺(DEとBC)には使えません!
a:c = e:f は成り立たないので、絶対に間違えないようにしましょう。
この定理は逆も成り立ちます。
もし AD : AB = AE : AC ならば → DE // BC
もし AD : DB = AE : EC ならば → DE // BC
これは、2つの直線が平行であることを証明するときの根拠として使えます。
ピラミッド型を応用すると、砂時計(クロス)型の図形にも同じような関係が成り立ちます。
AD // BC のとき、ACとBDの交点をEとすると、
AE : EC = DE : EB = AD : CB
A-------D
\ /
\ /
E X
/ \
/ \
B-------C
これは、△ADE ∽ △CBE であることから導かれます。
対応する辺の比がすべて等しくなります。
「平行線と線分の比の定理」の中で、点がちょうど「中点」だった場合、非常にシンプルで強力な性質が生まれます。
これが「中点連結定理」です。
△ABCの辺AB, ACの中点をそれぞれM, Nとすると、
MN // BC (中点どうしを結んだ線は、底辺と平行になる)
MN = (1/2)BC (その長さは、底辺のちょうど半分になる)
が成り立つ。
これは「平行線と線分の比の定理」から簡単に説明できます。
MとNが中点なので、AM : AB = AN : AC = 1 : 2 が成り立ちます。
よって、定理の逆から MN // BC が言え、
MN : BC = AM : AB = 1 : 2 なので、MNの長さはBCの半分になります。
片方が中点でもう片方が平行、という条件でも成り立ちます。
△ABCの辺ABの中点Mを通り、辺BCに平行な直線と、辺ACとの交点をNとすると、点Nは辺ACの中点になります。
「中点」というキーワードが出てきたら、「これは中点連結定理を使う問題ではないか?」と真っ先に疑いましょう。
証明問題でも計算問題でも、非常に強力なヒントになります。
「平行線と線分の比」は、図形の中に平行線を見つけたときに、辺の長さを計算するための強力な武器です。
ピラミッド型では、底辺の比を使いたいときは「大きい三角形 vs 小さい三角形」、辺のパーツの比を使いたいときは「切れ端どうし」と使い分ける。
砂時計型では、相似な三角形の対応する辺を正確に見つける。
「中点」という言葉が出てきたら、中点連結定理を思い出す。
これらの定理を使いこなすには、図の中から基本となる形(ピラミッド型、砂時計型)を素早く見つけ出す練習が不可欠です。