三角形の相似条件を学んだら、次はそのパワフルな道具を使って、様々な図形の性質を証明したり、未知の辺の長さを計算したりする応用編に進みます。
相似を使いこなす鍵は、「図形の中に隠された、相似な三角形のペアを見つけ出すこと」です。
ここでは、特によく使われる図形のパターンと、計算の基本となる「比例式」の使い方を解説します。
証明の基本的な流れ(仮定→結論、証拠集め、結論)は合同の証明と全く同じですが、ゴールが少し異なります。
△ABC ≡ △DEF を示し、「対応する辺の長さや角の大きさが等しい」ことを結論づける。
例:AB = DE や ∠A = ∠D を証明する。
△ABC ∽ △DEF を示し、「対応する辺の比が等しい」ことや「対応する角の大きさが等しい」ことを結論づける。
例:AB : DE = BC : EF や ∠A = ∠D を証明する。
特に、「辺の比が等しいこと」の証明は、相似を使わないとほぼ不可能です。
結論で示したい辺の比(例:AB:DE = AC:DF)を含む2つの三角形(△ABCと△DEF)に注目する。
相似条件(特に「2組の角がそれぞれ等しい」が多い)を使って、△ABC ∽ △DEF を証明する。
結論として、「相似な図形の対応する辺の比は等しいので、AB:DE = AC:DF」と述べる。
2つの三角形が相似であることがわかれば、「対応する辺の比はすべて等しい(相似比)」という性質を使って、未知の辺の長さを計算できます。
このとき使うのが「比例式」です。
a : b = c : d という比例式は、「内側どうしをかけたもの = 外側どうしをかけたもの」という性質があります。
b × c = a × d
下の図で、DE // BC のとき、xの長さを求めなさい。
(AD=4, DB=2, DE=5, BC=x)
A
/ \
/ \
D-----E
/ \
/ \
B-----------C
ステップ1:相似な三角形のペアを見つける
△ADE と △ABC に注目します。
共通な角なので、∠DAE = ∠BAC
DE // BC より、平行線の同位角は等しいので、∠ADE = ∠ABC
よって、「2組の角がそれぞれ等しい」ので、△ADE ∽ △ABC となります。
ステップ2:対応する辺を確認し、相似比を求める
対応する辺は AD ⇔ AB, DE ⇔ BC, AE ⇔ AC です。
分かっている辺のペアは AD と AB です。
AD = 4
AB = AD + DB = 4 + 2 = 6
よって、△ADE と △ABC の相似比は AD : AB = 4 : 6 = 2 : 3 となります。
ステップ3:比例式を立てて計算する
求めたい辺 DE と BC の比も、相似比 2 : 3 と等しくなるはずです。
比例式を立てます。
DE : BC = 2 : 3
分かっている値を代入します。
5 : x = 2 : 3
「内側×内側 = 外側×外側」を使って計算します。
2x = 5 × 3
2x = 15
x = 15 / 2 (または 7.5)
答え: x = 15/2
図形問題では、特定の形の中に相似な三角形が隠されていることがよくあります。
このパターンを覚えておくと、相似なペアを素早く見つけ出せます。
形: 上の例題のような形。
DE // BC が条件。
相似なペア: △ADE ∽ △ABC
辺の比: AD:AB = AE:AC = DE:BC
形: リボンや蝶ネクタイのような形。
AD // BC が条件。
相似なペア: △ADE ∽ △CBE
辺の比: AD:CB = AE:CE = DE:BE
(※対応する頂点を間違えないように注意! A⇔C, D⇔B)
形: 直角三角形の直角の頂点から、斜辺に垂線を下ろした形。
相似なペア: この図の中には、3つの相似な直角三角形(大きいもの、中くらいのもの、小さいもの)が隠されています。
△ABC ∽ △DBA ∽ △DAC
この形は非常によく出題され、辺の長さを求める問題の定番です。
相似を応用問題で使いこなすためのポイントは、
図の中から相似な三角形のペアを探し出す「発見力」。
対応する辺を正しく見極め、比例式を立てる「正確さ」。
です。
特に、よく出る図形のパターンに慣れておくと、問題を解くスピードが格段に上がります。
たくさんの問題に挑戦して、図形の中に隠された相似の関係を見つけ出すトレーニングを積みましょう。