中学1年生で学ぶ「図形の移動」は、図形を動かしても形や大きさが一切変わらない、という性質を利用して図形を観察する分野です。
まるで図形を切り抜いて、別の場所にピタッと重ねるようなイメージです。
この移動には、基本となる3つの方法があります。
平行移動は、最もシンプルな移動方法です。
図形を、向きを一切変えずに、決まった方向に、決まった距離だけ滑らせる(スライドさせる)移動です。
形と大きさは変わらない。
向きも変わらない。
移動前と移動後の、対応する点どうしを結んだ線分は、すべて平行で長さが等しくなります。
三角形ABCを、矢印の方向に矢印の長さだけ平行移動させる場合、
点Aを矢印の向きと長さに合わせて動かし、点A'をとる。
点B、点Cも、点Aと全く同じ向きに、同じ長さだけ動かし、点B'、点C'をとる。
A'、B'、C'を結ぶと、平行移動した三角形の完成です。
エレベーターが上下する動き、エスカレーター、黒板消しを横に滑らせる動き。
対称移動は、1本の直線を基準に図形を折り返す移動です。
1本の直線(対称の軸)を折り目として、図形をパタンと折り返した場所に動かす移動です。
形と大きさは変わらない。
向きが反転する(裏返しになる)。
まるで鏡に映したような図形になります。
移動前と移動後の、対応する点どうしを結んだ線分は、対称の軸によって垂直に二等分されます。
これは作図問題で非常に重要な性質です。
三角形ABCを、直線ℓを軸として対称移動させる場合、
点Aから直線ℓに垂線を下ろし、直線ℓとの交点から同じ距離だけ反対側に進んだ場所に点A'をとる。
点B、点Cも同じように、直線ℓに対して垂直に、同じ距離だけ反対側に動かし、点B'、点C'をとる。
A'、B'、C'を結ぶと、対称移動した三角形の完成です。
鏡に映った自分の姿、水面に映る景色、左右対称な漢字(「日」「田」など)。
回転移動は、1つの点を中心にして図形を回す移動です。
1つの点(回転の中心)を中心として、図形を決まった角度だけ「くるり」と回転させる移動です。
形と大きさは変わらない。
向きが変わる(ただし、裏返しにはならない)。
回転の中心と、対応する点(例えばAとA')を結んでできる角度は、すべて回転させた角度と等しくなります。
回転の中心から、対応する点までの距離は等しくなります。
三角形ABCを、点Oを中心として時計回りに90°回転移動させる場合、
点Oと点Aを結び、その線分OAをOを中心に90°回し、OAと同じ長さの場所に点A'をとる。
点B、点Cも同じように、線分OB、OCを90°回して、同じ長さの場所に点B'、点C'をとる。
A'、B'、C'を結ぶと、回転移動した三角形の完成です。
時計の針の動き、観覧車、ドアの開閉。
これら3つの移動は、図形の合同(形も大きさも同じで、ぴったり重なること)を証明したり、複雑な図形の面積を求めたりする際に強力なツールとなります。
| 移動の種類 | 向きの変化 | 特徴的なキーワード |
|---|---|---|
| 平行移動 | 変わらない | 滑らせる、スライド |
| 対称移動 | 裏返る(反転) | 折り返す、鏡 |
| 回転移動 | 回る | 中心、角度 |
それぞれの移動がどんな動きで、どんな性質を持っているのかをしっかり区別して、図形問題に活用していきましょう。