新石器時代に農耕が始まると、人々は大きな川のほとりに定住し始めました。
川は、農業に必要な水を供給してくれるだけでなく、定期的に氾濫(はんらん)して肥えた土をもたらしてくれたからです。
こうして、豊かな農業生産力を背景に、世界各地の大河の流域で、人類最初の「文明」が誕生しました。
まず、これから紹介する4つの文明には、いくつかの共通点があります。
大河の流域で発生した。
豊かな農業を基盤に、都市が生まれた。
人々をまとめる強力な王(支配者)がいた。
記録を残したり、税を集めたりするために文字が発明された。
天文学や数学、測量技術といった科学技術が発達した。
アフリカ北東部、ナイル川流域
紀元前3000年頃~
ファラオと呼ばれる王が、神として国を統治する神権政治を行いました。
ヒエログリフ(神聖文字)と呼ばれる象形文字を使いました。
パピルスという草から作った紙に記録されました。
太陽神ラーを中心とする多神教でした。
「死後の世界」を強く信じており、魂が戻るための肉体を保存するためにミイラを作りました。
王の墓として、巨大なピラミッドやスフィンクスを建設しました。
ナイル川が毎年氾濫したため、氾濫後に農地を正確に測り直す測量術や幾何学が発達しました。
太陽の動きをもとに、1年を365日とする太陽暦を作りました。
これは現在の暦の元になっています。
ナイル川、ファラオ、ピラミッド、ミイラ、ヒエログリフ、太陽暦
アジア西部、チグリス川とユーフラテス川流域
紀元前3500年頃~
周辺に多くの民族が侵入し、王朝が次々と交代したのが特徴です。
紀元前18世紀頃、バビロニア王国のハンムラビ王が全メソポタミアを統一し、「目には目を、歯には歯を」で知られるハンムラビ法典を制定しました。
楔形(くさびがた)文字を使いました。
アシの茎などで、粘土板に刻みつけられました。
現世的な考え方が強く、エジプトほど死後の世界を重視しませんでした。
月の満ち欠けをもとにした太陰暦を使いました。
時間についての六十進法(1分=60秒、1時間=60分)や、1週間を7日とする制度は、この文明で生まれ、現代にも伝わっています。
チグリス・ユーフラテス川、ハンムラビ法典、楔形文字、太陰暦、六十進法
インド(パキスタン)、インダス川流域
紀元前2500年頃~
モヘンジョダロなどの遺跡が有名ですが、巨大な宮殿や王の墓が見つかっていないため、王がいたかどうかなど、政治の仕組みはよく分かっていません。
インダス文字が使われましたが、まだ解読されていません。
そのため、この文明は謎に包まれています。
遺跡からは、整然と区画整理された道路、下水道、公衆浴場などが見つかっており、非常に発達した計画都市であったことが分かります。
人々は青銅器や、美しい模様のついた土器、動物の絵などが彫られた印章(ハンコ)を使用していました。
インダス川、モヘンジョダロ、インダス文字(未解読)、計画都市
中国、黄河と長江流域
紀元前3000年頃~
紀元前16世紀頃、黄河流域に殷(いん)という国(王朝)がおこりました。
殷では、占いの結果を亀の甲羅や動物の骨に刻んで、国の重要な事を決めていました。
その後、殷を滅ぼした周(しゅう)が中国を支配しました。
殷の占いに使われた文字が甲骨文字(こうこつもじ)です。
これが現在の漢字の原型となりました。
青銅器の製造技術が非常に発達しており、祭りのための複雑な模様の青銅器が多数作られました。
黄河・長江、殷(いん)、甲骨文字(漢字の原型)、青銅器
| 文明名 | 川 | 王・政治 | 文字 | 科学・技術・文化 |
|---|---|---|---|---|
| エジプト | ナイル川 | ファラオ(神権政治) | ヒエログリフ | ピラミッド、ミイラ、太陽暦 |
| メソポタミア | チグリス・ユーフラテス川 | ハンムラビ王(ハンムラビ法典) | 楔形文字 | 太陰暦、六十進法、1週間7日制 |
| インダス | インダス川 | (不明) | インダス文字(未解-読) | 計画都市(モヘンジョダロ) |
| 中国 | 黄河・長江 | 殷、周といった王朝 | 甲骨文字(漢字の元) | 青銅器 |
これらの古代文明は、後の世界の歴史や文化に大きな影響を与え、人類の発展の礎となったのです。