2019年末、中国の武漢(ぶかん)市で原因不明の肺炎患者が報告されたのが始まりです。
新型のコロナウイルス(COVID-19)による感染症であることが判明しました。
このウイルスは、感染力が非常に強く、グローバル化によって人々の往来が活発になっていた現代社会において、あっという間に世界中に広がりました。
2020年3月、WHO(世界保健機関)は、世界的な大流行である「パンデミック」を宣言しました。
日本でも感染が拡大し、政府や国民は前例のない対応を迫られました。
感染拡大を防ぐため、政府は複数回にわたって緊急事態宣言を発令しました。
国民には、不要不急の外出の自粛が要請され、多くの店舗や施設が休業・時短営業を余儀なくされました。
感染対策として、マスクの着用、手洗い・消毒の徹底、三つの密(密集・密接・密閉)を避けることなどが「新しい生活様式」として提唱され、社会に定着しました。
2020年夏に開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックは、パンデミックの影響で、史上初めて1年間延期されるという異例の事態となりました。
翌年、ほとんどの会場で無観客という形で開催されました。
新型コロナウイルスの流行は、私たちの暮らしと経済に大きな打撃を与えると同時に、社会のあり方を大きく変えるきっかけともなりました。
経済活動の停滞:
特に、飲食店、観光業、交通機関、イベント業界などは、外出自粛や移動制限によって壊滅的な打撃を受けました。
世界中で供給網(サプライチェーン)が混乱し、経済は大きく落ち込みました。
医療体制のひっ迫:
感染者が急増し、病院のベッドや医療従事者が不足する「医療ひっ迫」が深刻な問題となりました。
教育への影響:
全国の学校で一斉休校が行われ、オンライン授業の導入が進みましたが、地域や家庭による学習環境の格差も問題となりました。
一方で、コロナ禍は社会のデジタル化を急速に進める側面もありました。
働き方の変化:
会社に出勤せず、自宅で仕事をする「テレワーク(リモートワーク)」や、オンラインでの会議が急速に普及しました。
新しいサービスの拡大:
飲食店の料理を自宅に届けてもらうフードデリバリーサービスや、インターネット通販の利用者が大幅に増加しました。
価値観の変化:
人々の健康への意識が高まるとともに、働き方や人とのつながり方など、これまでの当たり前を見直すきっかけとなりました。
世界中の国々や製薬会社が協力し、異例のスピードでワクチンの開発が進められました。
発展途上国にもワクチンを公平に分配するための国際的な枠組み(COVAXファシリティ)も作られました。
その一方で、一部の先進国がワクチンを買い占める「ワクチン・ナショナリズム」が問題となりました。
また、ウイルスの発生源などをめぐって、アメリカと中国の対立が深まるなど、国際社会の分断も浮き彫りになりました。
新型コロナウイルスの流行は、グローバル化した現代社会が、いかに感染症に対して脆弱(ぜいじゃく)であるかを明らかにしました。
それは、世界中の人々の命と健康を脅かし、経済に深刻な打撃を与えた一方で、社会のデジタル化を一気に加速させ、私たちの働き方や生活様式を根本から変える、まさに歴史の転換点となる出来事でした。
現在、社会は「ポストコロナ(コロナ後)」の時代へと移行しつつありますが、この経験から得た教訓を未来にどう活かしていくかが、私たちに課せられた大きな課題となっています。