ギリシャ・ローマの古典文明

 

 

古典文明とは

四大文明が川の流域で生まれたのに対し、ギリシャ・ローマ文明は地中海を舞台に発展しました。

これらの文明は、現代のヨーロッパやアメリカの文化・社会の基礎(古典)となったため、「古典文明」と呼ばれます。

 

1. ギリシャ文明:ポリスと民主政、そして哲学の始まり

場所と時代:

バルカン半島南部やエーゲ海周辺で、紀元前8世紀頃から発展しました。

政治:「ポリス」と「民主政」

ポリス: ギリシャでは、アテネやスパルタといった、都市とその周辺の農村からなる「都市国家(ポリス)」が多数作られました。

直接民主政: ポリスの中でも特にアテネでは、身分の低い市民も含む市民の男性全員が民会(みんかい)に参加し、国の重要な方針を話し合いで決めました。

これを「直接民主政」といい、現代の民主主義の原点となりました。

特徴: 市民は皆平等で、役人はくじで選ばれました。

限界: 女性、奴隷、外国人は政治に参加できませんでした。

スパルタ:

アテネとは対照的に、少数の市民が多くの奴隷を支配するため、非常に厳しい軍事的な教育や政治体制をとっていました。

文化:「人間中心」の合理的な文化

哲学: ソクラテス、プラトン、アリストテレスといった哲学者たちが、「人間とは何か」「よく生きるとは何か」といった根本的な問いを探求しました。

物事を神話ではなく、理性で考えようとしたのが特徴です。

芸術・建築: 人間の肉体の美しさを理想とした彫刻や、パルテノン神殿に代表される、均整のとれた美しい建築様式(ドーリア式、イオニア式など)を生み出しました。

オリンピアの祭典: 4年に一度、ギリシャ中のポリスが集まり、神々をたたえるためのスポーツ競技会を行いました。

これが古代オリンピックの始まりです。

文明の広がり:アレクサンドロス大王とヘレニズム

ポリス同士の争いでギリシャが衰えると、北方のマケドニアから現れたアレクサンドロス大王がギリシャ全土を統一し、東はインダス川に至る大帝国を築きました。

この大王の東方遠征によって、ギリシャ文化と、エジプトやメソポタミアなどのオリエント文化が融合し、「ヘレニズム」と呼ばれる新しい国際的な文化が生まれました。

 

2. ローマ文明:法と実用性、そして巨大な帝国

場所と時代:

イタリア半島中部の都市国家ローマから始まり、紀元前1世紀には地中海全域を支配する大帝国となりました。

政治:「共和政」から「帝政」へ

共和政(きょうわせい): 初期のローマは、王を置かず、市民が選挙で選んだ役人(執政官)と、貴族が集まる元老院(げんろういん)が国を治める「共和政」をとっていました。

帝政(ていせい): 領土が拡大し、内乱が続くと、カエサルなどが権力を握ります。

その後、オクタヴィアヌスが初代皇帝となり、「ローマ帝国」が始まります。

ローマ帝国は、その後約200年間、「ローマの平和(パクス・ロマーナ)」と呼ばれる安定と繁栄の時代を迎えました。

文化:「実用的」な文化

法律: ローマの最大の功績は、帝国内の様々な民族を公平に統治するための、非常に整備されたローマ法を築いたことです。

これは、現代の多くの国の法律の基礎となっています。

土木・建築技術: 道路、橋、水道橋、円形闘技場(コロッセウム)など、極めて実用的で壮大な建造物を帝国中に建設しました。

セメント(コンクリート)を発明したのもローマ人です。

言語: ローマ帝国の公用語であったラテン語は、後のフランス語、スペイン語、イタリア語などの元になりました。

宗教:キリスト教の誕生と国教化

ローマ帝国支配下のパレスチナ地方で、イエスによってキリスト教が創始されました。

当初は迫害されましたが、次第に信者を増やし、4世紀末にはローマ帝国の国教となりました。

キリスト教は、後のヨーロッパ世界の中心的な宗教となります。

帝国の分裂と滅亡

広大になりすぎた帝国は、やがて東西に分裂し、西ローマ帝国は476年にゲルマン人の侵入によって滅亡しました。

 

まとめ:ギリシャとローマの遺産

ギリシャ文明 ローマ文明
政治 民主政(アテネ) 共和政 → 帝政
文化の中心 哲学、芸術(人間中心・合理的) 法律、土木建築(実用的)
宗教 多神教(ゼウスなど) キリスト教が誕生し、国教となる
後の世界へ 思想、学問、芸術の基礎を築いた 法律、言語、キリスト教など、ヨーロッパ社会の骨格を作った

ギリシャ人が考えた「民主主義」や「哲学」を、ローマ人が築いた「法律」や「社会基盤」という器に入れて広めた、とイメージすると分かりやすいかもしれません。

この2つの文明が、その後のヨーロッパ、そして現代の世界に与えた影響は計り知れません。

 

歴史
人類の出現 旧石器時代、新石器時代 四大文明 ギリシャ・ローマの古典文明 日本のあけぼの:旧石器時代、縄文時代 日本のあけぼの:弥生時代 大和政権と古墳時代:邪馬台国と卑弥呼 大和政権と古墳時代:大和政権と古墳 大和政権と古墳時代:大陸との交流 飛鳥時代:仏教の伝来 飛鳥時代:聖徳太子の政治 飛鳥時代:大化の改新と律令国家 飛鳥時代:白村江の戦い 奈良時代:律令制度と平城京 奈良時代:班田収授法と租・庸・調 奈良時代:聖武天皇と国分寺・東大寺 奈良時代:天平文化 平安時代:平安京への遷都 平安時代:摂関政治 平安時代:武士の発生 平安時代:国風文化 平安時代:院政と平氏 鎌倉時代:鎌倉幕府の成立 鎌倉時代:御家人と封建制度 鎌倉時代:承久の乱と執権政治 鎌倉時代:元寇 鎌倉時代:鎌倉仏教 室町時代:建武の新政と南北朝 室町時代:室町幕府の成立 室町時代:勘合貿易 室町時代:応仁の乱と戦国時代 室町時代:北山文化と東山文化 安土桃山時代:戦国大名の登場 安土桃山時代:ヨーロッパ人との出会い 安土桃山時代:豊臣秀吉による天下統一 安土桃山時代:桃山文化 江戸時代:江戸幕府の成立 江戸時代:幕藩体制 江戸時代:士農工商の身分制度 江戸時代:鎖国政策 江戸時代:産業の発達と交通網の整備 江戸時代:元禄文化 江戸時代:江戸時代の三大改革 江戸時代:化政文化 江戸時代:欧米列強の接近と幕府の動揺 江戸時代:開国と幕末の動乱 明治時代:大政奉還、王政復古 明治時代:明治維新 明治時代:富国強兵 明治時代:文明開化 明治時代:自由民権運動と大日本帝国憲法 明治時代:日清戦争・日露戦争 明治時代:不平等条約の改正 明治時代:日韓併合 世界の動き:市民革命 世界の動き:産業革命 世界の動き:アジアの植民地化 大正時代:第一次世界大戦と日本の参戦 大正時代:大正デモクラシー 大正時代:米騒動、社会運動の活発化 昭和時代:世界恐慌と日本の経済危機 昭和時代:軍部の台頭と満州事変 昭和時代:日中戦争と第二次世界大戦 昭和時代:ポツダム宣言受諾と日本の敗戦 昭和時代:民主化政策と日本国憲法 昭和時代:二つの条約 昭和時代:高度経済成長と国民生活の変化 昭和時代:公害問題 世界の動き:国際連合の発足 世界の動き:冷戦 世界の動き:アジア・アフリカ諸国の独立 世界の動き:冷戦の終結とグローバル化 平成時代:日本のバブル経済とその崩壊 現代:現代社会の課題 現代:新型コロナウイルスの流行と影響