平安時代:国風文化

 

 

1. 国風文化とは? ― 「日本らしい」文化の誕生

いつ頃の文化?

摂関政治が最も栄えた、10世紀から11世紀頃に、都の貴族たちを中心として栄えた文化です。

「国風」とは、「日本風」という意味です。

誕生の背景:「遣唐使の停止」

奈良時代から平安時代初期にかけて、日本の文化は遣唐使がもたらす唐(中国)の文化をお手本にしていました(これを唐風文化といいます)。

しかし、9世紀末になると、唐が衰えて国内が乱れてきたことなどから、菅原道真(すがわらのみちざね)の提案により、894年に遣唐使が停止されます。

これにより、これまでのように直接中国文化が入ってくることが少なくなりました。

その結果、日本人は、これまでに取り入れてきた唐の文化を、日本の風土や日本人の感性に合わせて、自分たち独自の「日本らしい」文化へと発展させていきました。

これが国風文化です。

 

2. 国風文化の最大の発明:「かな文字」

国風文化が花開く上で、最も重要だったのが「かな文字」の発明です。

それまでは?

日本にはもともと文字がなかったため、中国から伝わった漢字をそのまま使ったり、漢字の音を借りて日本語を表記する「万葉がな」を使ったりしていました。

しかし、漢字や万葉がなは画数が多く、複雑で、特に日常の感情などを自由に表現するには不便でした。

かな文字の誕生:

そこで、漢字を簡略化して、日本語の発音を表す、より簡単な文字が作られました。

平がな(ひらがな): 漢字の草書体(崩し字)から作られました。

片かな(カタカナ): 漢字の一部分をとって作られました。

なぜ重要だったのか?

この簡単で美しい「かな文字」ができたことで、特に宮廷に仕える女性たちが、自分の感情や、日々の出来事を、日本語の話し言葉に近い感覚で自由に書き表すことができるようになりました。

これが、この時代に優れた女流文学が次々と生まれた、最大の理由です。

 

3. 国風文化を彩る文学作品:女房文学の傑作

かな文字の登場により、天皇や后に仕える教養の高い女性たち(女房:にょうぼう)によって、素晴らしい文学作品が生み出されました。

『源氏物語(げんじものがたり)』

作者: 紫式部(むらさきしきぶ)

内容:

主人公である光源氏(ひかるげんじ)の恋愛や栄華、苦悩を描いた、世界最古ともいわれる長編恋愛小説です。

貴族社会の華やかな生活だけでなく、登場人物の心の動きを細やかに描いた点で非常に優れており、「もののあはれ」という、しみじみとした情趣を文学のテーマとしました。

『枕草子(まくらのそうし)』

作者: 清少納言(せいしょうなごん)

内容:

「春はあけぼの…」の書き出しで有名な随筆(ずいひつ)です。

作者が宮廷で体験したことや、自然の美しさ、身の回りの物事について、鋭い観察眼と、明るく知的な文章で書き綴っています。

「をかし」という、明るく知的な趣をテーマとしています。

『古今和歌集(こきんわかしゅう)』

編者: 紀貫之(きのつらゆき)

内容:

天皇の命令によって編纂された、最初の勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)です。

優雅で洗練された和歌が多く収められています。

紀貫之が書いた序文(かな序)は、かな文字による優れた文章として有名です。

この他にも、『土佐日記』など、男性がかな文字で書いた日記文学も生まれました。

 

4. 貴族の生活と文化

住居:「寝殿造(しんでんづくり)」

当時の貴族は、寝殿と呼ばれる中心の建物を中心に、池や庭園を配した、自然と一体化した開放的な邸宅に住んでいました。

服装:

男性は束帯(そくたい)、女性は十二単(じゅうにひとえ)といった、優雅で美しい装束を身につけていました。

信仰:「浄土信仰(じょうどしんこう)」の広まり

平安時代中期になると、仏教の教えの中に「末法思想(まっぽうしそう)」という、「やがて仏法の力が衰え、世の中が乱れる時代が来る」という終末論的な思想が広がりました。

この不安から、貴族たちの間では、「阿弥陀仏(あみだぶつ)を信じ、念仏(南無阿弥陀-仏)を唱えれば、死後、極楽浄土(ごくらくじょうど)というすばらしい世界に生まれ変われる」という浄土信仰が流行しました。

この信仰を背景に、藤原頼通は平等院鳳凰堂を建てました。

これは、極楽浄土の宮殿を地上に再現しようとしたものだと言われています。

 

まとめ

国風文化は、894年の遣唐使停止をきっかけに、唐の文化を日本風にアレンジして生まれた貴族中心の文化です。

かな文字の発明が、紫式部の『源氏物語』や、清少納言の『枕草子』といった、優れた女流文学を生み出す原動力となりました。

貴族たちは寝殿造の邸宅に住み、不安な世の中から救われたいという思いから、浄土信仰を篤く信仰し、平等院鳳凰堂のような美しい寺院を建立しました。

 

歴史
人類の出現 旧石器時代、新石器時代 四大文明 ギリシャ・ローマの古典文明 日本のあけぼの:旧石器時代、縄文時代 日本のあけぼの:弥生時代 大和政権と古墳時代:邪馬台国と卑弥呼 大和政権と古墳時代:大和政権と古墳 大和政権と古墳時代:大陸との交流 飛鳥時代:仏教の伝来 飛鳥時代:聖徳太子の政治 飛鳥時代:大化の改新と律令国家 飛鳥時代:白村江の戦い 奈良時代:律令制度と平城京 奈良時代:班田収授法と租・庸・調 奈良時代:聖武天皇と国分寺・東大寺 奈良時代:天平文化 平安時代:平安京への遷都 平安時代:摂関政治 平安時代:武士の発生 平安時代:国風文化 平安時代:院政と平氏 鎌倉時代:鎌倉幕府の成立 鎌倉時代:御家人と封建制度 鎌倉時代:承久の乱と執権政治 鎌倉時代:元寇 鎌倉時代:鎌倉仏教 室町時代:建武の新政と南北朝 室町時代:室町幕府の成立 室町時代:勘合貿易 室町時代:応仁の乱と戦国時代 室町時代:北山文化と東山文化 安土桃山時代:戦国大名の登場 安土桃山時代:ヨーロッパ人との出会い 安土桃山時代:豊臣秀吉による天下統一 安土桃山時代:桃山文化 江戸時代:江戸幕府の成立 江戸時代:幕藩体制 江戸時代:士農工商の身分制度 江戸時代:鎖国政策 江戸時代:産業の発達と交通網の整備 江戸時代:元禄文化 江戸時代:江戸時代の三大改革 江戸時代:化政文化 江戸時代:欧米列強の接近と幕府の動揺 江戸時代:開国と幕末の動乱 明治時代:大政奉還、王政復古 明治時代:明治維新 明治時代:富国強兵 明治時代:文明開化 明治時代:自由民権運動と大日本帝国憲法 明治時代:日清戦争・日露戦争 明治時代:不平等条約の改正 明治時代:日韓併合 世界の動き:市民革命 世界の動き:産業革命 世界の動き:アジアの植民地化 大正時代:第一次世界大戦と日本の参戦 大正時代:大正デモクラシー 大正時代:米騒動、社会運動の活発化 昭和時代:世界恐慌と日本の経済危機 昭和時代:軍部の台頭と満州事変 昭和時代:日中戦争と第二次世界大戦 昭和時代:ポツダム宣言受諾と日本の敗戦 昭和時代:民主化政策と日本国憲法 昭和時代:二つの条約 昭和時代:高度経済成長と国民生活の変化 昭和時代:公害問題 世界の動き:国際連合の発足 世界の動き:冷戦 世界の動き:アジア・アフリカ諸国の独立 世界の動き:冷戦の終結とグローバル化 平成時代:日本のバブル経済とその崩壊 現代:現代社会の課題 現代:新型コロナウイルスの流行と影響