室町時代:勘合貿易

 

 

1. なぜ勘合貿易が始まったのか?

室町幕府の3代将軍・足利義満が始めた明(当時の中国)との正式な貿易を日明貿易(にちみんぼうえき)、または**勘合貿易(かんごうぼうえき)**と呼びます。

この貿易は、室町幕府に莫大な富をもたらし、日本の経済や文化に大きな影響を与えました。

この貿易が始まる背景には、2つの大きな理由がありました。

① 倭寇(わこう)の問題

当時、日本の西日本から中国、朝鮮半島にかけての沿岸では、倭寇と呼ばれる海賊が活発に活動し、人や物をさらい、大きな問題となっていました。

明は、室町幕府に対してこの倭寇を取り締まるよう強く求めていました。

② 幕府の財政難

足利義満は、南北朝の統一や有力守護大名の統制など、幕府の権威を高めるために多くのお金を必要としていました。

博多の商人などから明との貿易が大きな利益を生むことを聞き、幕府の財政を豊かにするために貿易を望んでいました。

これらの理由から、義満は明の要求を受け入れ、倭寇を取り締まる代わりに正式な国交と貿易を始めることにしたのです。

 

2. 「勘合」を使った貿易の仕組み

明は、倭寇のような海賊船と、幕府が派遣した正式な貿易船を区別する必要がありました。

そのために使われたのが「勘合(かんごう)」または「勘合符(かんごうふ)」と呼ばれる合い札です。

仕組み:

一枚の紙に文字を書き、それを二つに切り分けます。

片方を明が、もう片方を日本(幕府)が持ちます。

日本の貿易船が明の港に着いたとき、持参した勘合符を提出し、明が持つ台帳と照らし合わせます。

二つがぴったりと合えば、正式な船として認められ、貿易が許可されました。

このように勘合符を使ったことから、この貿易は勘合貿易と呼ばれています。

 

3. 朝貢貿易という形式

この貿易は、日本と明が対等な立場で行うものではありませんでした。

朝貢貿易とは:

明の皇帝を「親」、日本の将軍(国王)を「子」とするような主従関係を結び、日本の使者が明の皇帝に貢物を献上する、という形をとっていました。

足利義満は、明の皇帝から「日本国王」の称号を認められました。

国内では批判もありましたが、義満は国としてのプライドよりも、貿易によって得られる莫大な利益を優先したのです。

 

4. 貿易でやり取りされた品物

勘合貿易によって、日本と明の間で様々な品物が行き来しました。

主な品物

日本からの輸出品 銅、硫黄(鉱物)、刀剣、扇、漆器、屏風など
日本への輸入品 銅銭(永楽通宝など)、生糸、絹織物、陶磁器、書物、水墨画など

ポイント:

日本刀や扇などの工芸品は、明で非常に高く評価されました。

輸入された銅銭(永楽通宝)は、当時の日本で実際のお金として広く流通し、日本の貨幣経済を発展させました。

絹織物や陶磁器、水墨画などは「唐物(からもの)」と呼ばれ、珍重され、後の東山文化などに大きな影響を与えました。

 

まとめ

勘合貿易は、倭寇対策と幕府の財政強化を目的として、3代将軍・足利義満によって始められました。

勘合符という証明書を使い、朝貢という形式をとることで、室町幕府は大きな利益を上げ、その最盛期を築きました。

また、この貿易によってもたらされた中国の貨幣や文化は、日本の社会に大きな影響を与えたのです。

 

歴史
人類の出現 旧石器時代、新石器時代 四大文明 ギリシャ・ローマの古典文明 日本のあけぼの:旧石器時代、縄文時代 日本のあけぼの:弥生時代 大和政権と古墳時代:邪馬台国と卑弥呼 大和政権と古墳時代:大和政権と古墳 大和政権と古墳時代:大陸との交流 飛鳥時代:仏教の伝来 飛鳥時代:聖徳太子の政治 飛鳥時代:大化の改新と律令国家 飛鳥時代:白村江の戦い 奈良時代:律令制度と平城京 奈良時代:班田収授法と租・庸・調 奈良時代:聖武天皇と国分寺・東大寺 奈良時代:天平文化 平安時代:平安京への遷都 平安時代:摂関政治 平安時代:武士の発生 平安時代:国風文化 平安時代:院政と平氏 鎌倉時代:鎌倉幕府の成立 鎌倉時代:御家人と封建制度 鎌倉時代:承久の乱と執権政治 鎌倉時代:元寇 鎌倉時代:鎌倉仏教 室町時代:建武の新政と南北朝 室町時代:室町幕府の成立 室町時代:勘合貿易 室町時代:応仁の乱と戦国時代 室町時代:北山文化と東山文化 安土桃山時代:戦国大名の登場 安土桃山時代:ヨーロッパ人との出会い 安土桃山時代:豊臣秀吉による天下統一 安土桃山時代:桃山文化 江戸時代:江戸幕府の成立 江戸時代:幕藩体制 江戸時代:士農工商の身分制度 江戸時代:鎖国政策 江戸時代:産業の発達と交通網の整備 江戸時代:元禄文化 江戸時代:江戸時代の三大改革 江戸時代:化政文化 江戸時代:欧米列強の接近と幕府の動揺 江戸時代:開国と幕末の動乱 明治時代:大政奉還、王政復古 明治時代:明治維新 明治時代:富国強兵 明治時代:文明開化 明治時代:自由民権運動と大日本帝国憲法 明治時代:日清戦争・日露戦争 明治時代:不平等条約の改正 明治時代:日韓併合 世界の動き:市民革命 世界の動き:産業革命 世界の動き:アジアの植民地化 大正時代:第一次世界大戦と日本の参戦 大正時代:大正デモクラシー 大正時代:米騒動、社会運動の活発化 昭和時代:世界恐慌と日本の経済危機 昭和時代:軍部の台頭と満州事変 昭和時代:日中戦争と第二次世界大戦 昭和時代:ポツダム宣言受諾と日本の敗戦 昭和時代:民主化政策と日本国憲法 昭和時代:二つの条約 昭和時代:高度経済成長と国民生活の変化 昭和時代:公害問題 世界の動き:国際連合の発足 世界の動き:冷戦 世界の動き:アジア・アフリカ諸国の独立 世界の動き:冷戦の終結とグローバル化 平成時代:日本のバブル経済とその崩壊 現代:現代社会の課題 現代:新型コロナウイルスの流行と影響