庶民や武士のための仏教:これまで中心だった天皇や貴族だけでなく、文字が読めない庶民や、常に死と隣り合わせの武士たちにも受け入れられる教えでした。
やさしい実践方法:難しい学問や厳しい修行ではなく、「念仏を唱えるだけ」「題目を唱えるだけ」「ひたすら座禅を組む」といった、誰にでも実践できる一つの行いを大切にしました。
救いを求める心:地震や飢饉、元寇といった社会不安を背景に、「この世で救われなくても、来世では極楽浄土に行きたい」という人々の願いに応えるものでした。
鎌倉仏教は、大きく分けて「浄土信仰の仏教」と「法華経の仏教」、そして「禅宗」の3つのタイプがあります。
| 種類 | 宗派名 | 開いた人(開祖) | 主な教え・特徴 |
|---|---|---|---|
| 浄土信仰 (阿弥陀仏にすがる) |
浄土宗 | 法然(ほうねん) |
「南無阿弥陀仏」と一心に念仏を唱えれば、誰でも極楽浄土へ行ける(専修念仏)。 |
| 浄土真宗 (一向宗) |
親鸞(しんらん) |
法然の弟子。 阿弥陀仏を信じる心さえあれば、善人よりもむしろ自分を罪深いと知る悪人こそが救われる(悪人正機説)。 |
|
| 時宗 | 一遍(いっぺん) |
念仏を唱えながら踊る「踊念仏」で、人々と喜びを分かち合いながら極楽往生を願う。 |
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| 法華経の仏教 | 日蓮宗 (法華宗) |
日蓮(にちれん) |
「南無妙法蓮華経」という題目(だいもく)を唱えることが最も大切だと説く。 元寇を予言したことでも知られる。 |
| 禅宗 (自分の力で悟る) |
臨済宗 | 栄西(えいさい) |
座禅を組んで精神を統一し、師との問答(公案)を通じて悟りを開く。 武士の気風に合い、幕府に保護された。 |
| 曹洞宗 | 道元(どうげん) |
ただひたすらに座禅に打ち込むこと(只管打坐)そのものが悟りの姿であると説く。 |
浄土信仰が、来世での救いを願う農民たちに広く受け入れられたのに対し、禅宗は特に武士階級に支持されました。
その理由は、座禅によって精神を集中させ、自分自身と向き合う修行が、戦場で常に冷静な判断力と強い精神力を求められる武士の生き方に合っていたからです。
臨済宗が鎌倉幕府の執権・北条氏に保護されたのもそのためです。
鎌倉時代は、戦乱が続き、武士や庶民が日々の生活に不安を感じていた時代です。
これまでの仏教は、貴族が中心で学問的な要素が強く、難しい修行が必要でした。
そうした中で、人々の心を救うために、シンプルで分かりやすい教えを説く新しい宗派が次々と誕生しました。
鎌倉仏教は、それまでの貴族中心の難しい仏教から、武士や庶民一人ひとりの心を救うための仏教へと大きく変わった点に特徴があります。
「南無阿弥陀仏」と唱える法然や親鸞、「南無妙法蓮華経」と唱える日蓮、座禅を組む栄西や道元など、様々な宗派が生まれ、その教えは今日の日本の仏教の基礎となっています。