飛鳥時代:仏教の伝来

 

 

1. 仏教はいつ、どこから伝わったのか?

伝来の時期:

6世紀半ば(538年説が有力)のことです。

これは古墳時代の終わりの方にあたります。

伝来のルート:

仏教は、もともとインドで釈迦(しゃか)が開いた宗教です。

それが中央アジアを通り、中国、そして朝鮮半島へと伝わりました。

日本へは、朝鮮半島の百済(くだら)の王(聖明王)から、大和政権の欽明天皇(きんめいてんのう)へ、仏像や経典(きょうてん)が贈られたのが公式な伝来とされています。

このように、仏教は直接インドからではなく、中国・朝鮮半島を経由して、多くの渡来人(とらいじん)たちの手によって、様々な文化と共にもたらされたのです。

 

2. 新しい宗教「仏教」をめぐる国内の対立

新しい宗教である仏教を、大和政権が受け入れるかどうかをめぐって、朝廷内の有力な豪族の間で激しい対立が起こりました。

崇仏派(すうぶつは):仏教を受け入れたいグループ

代表的な人物: 蘇我氏(そがし)

主張:

百済など、外国の進んだ国々は皆、仏教を信じている。

日本もこれを受け入れるべきだ。

蘇我氏は、渡来人との関わりが深く、大陸の新しい文化や技術を積極的に取り入れようとする考えを持っていました。

排仏派(はいぶつは):仏教に反対するグループ

代表的な人物: 物部氏(もののべし)、中臣氏(なかとみし)

主張:

日本には昔から、八百万(やおよろず)の神々(神道)がいる。

外国の神(蕃神:ばんしん)を拝むと、日本の神々の怒りを買うだろう。

物部氏は軍事を、中臣氏は朝廷の祭祀(神々のお祭り)を担当していたため、伝統的な神道を重んじる立場でした。

この対立は、単なる宗教論争ではなく、蘇我氏と物部氏という二大豪族の政治的な主導権争いでもありました。

最終的に、この争いは武力衝突にまで発展し、蘇我馬子(そがのうまこ)が物部守屋(もののべのもりや)を滅ぼして、蘇我氏が勝利しました。

これにより、朝廷は仏教を保護し、受け入れていく方針を固めることになります。

 

3. 仏教が日本の社会と文化に与えた影響

蘇我氏の勝利後、仏教は国家の保護のもとで、特に都の貴族や豪族たちの間に広まっていきました。

① 新しい文化の誕生:「飛鳥文化」

仏教の伝来は、それまで日本にはなかった、全く新しい芸術や文化をもたらしました。

これが、日本で最初の仏教文化である「飛鳥文化」です。

寺院建築: 豪族たちは、自分たちの力を示すために、競って壮大な寺を建て始めました。

法隆寺(ほうりゅうじ): 聖徳太子が建てたと伝えられる、世界最古の木造建築です。

その柱のふくらみ(エンタシス)や、壁画には、遠くギリシャやインド、中国の文化の影響が見られます。

飛鳥寺(あすかでら): 蘇我氏が建てた、日本で最初の本格的な仏教寺院です。

仏像彫刻:

渡来人の仏師(仏像を作る職人)である鞍作止利(くらつくりのとり)などが活躍し、法隆寺の釈迦三尊像(しゃかさんぞんぞう)に代表される、特徴的な仏像が作られました。

② 国づくりの思想的支柱として

仏教は、単なる信仰の対象だけでなく、国をまとめ、人々の心を一つにするための思想としても重要視されました。

後の聖徳太子は、仏教の教えを政治の基本理念の一つとし、「篤く三宝を敬え。

三宝とは仏・法・僧なり(あつくさんぽうをうやまえ。

さんぽうとはぶっぽうそうなり)」と十七条の憲法の中で述べ、役人たちの心のよりどころとしました。

また、後の時代には、聖武天皇が全国に国分寺を建てるなど、仏教は国家の安定と繁栄を祈るための「鎮護国家(ちんごこっか)」の思想へと発展していきます。

 

まとめ

仏教は、6世紀半ばに百済から公式に伝わりました。

受け入れをめぐって、崇仏派の蘇我氏と排仏派の物部氏が対立しましたが、蘇我氏が勝利しました。

仏教の伝来は、法隆寺に代表される日本初の仏教文化「飛鳥文化」を生み出しました。

また、聖徳太子が政治の理念とするなど、仏教は新しい国づくりの精神的な柱としての役割も果たしていくことになります。

このように、仏教の伝来は、日本の古代国家が、それまでの豪族連合の段階から、法律や思想を持った「律令国家」へと脱皮していくための、非常に重要なきっかけとなったのです。

 

歴史
人類の出現 旧石器時代、新石器時代 四大文明 ギリシャ・ローマの古典文明 日本のあけぼの:旧石器時代、縄文時代 日本のあけぼの:弥生時代 大和政権と古墳時代:邪馬台国と卑弥呼 大和政権と古墳時代:大和政権と古墳 大和政権と古墳時代:大陸との交流 飛鳥時代:仏教の伝来 飛鳥時代:聖徳太子の政治 飛鳥時代:大化の改新と律令国家 飛鳥時代:白村江の戦い 奈良時代:律令制度と平城京 奈良時代:班田収授法と租・庸・調 奈良時代:聖武天皇と国分寺・東大寺 奈良時代:天平文化 平安時代:平安京への遷都 平安時代:摂関政治 平安時代:武士の発生 平安時代:国風文化 平安時代:院政と平氏 鎌倉時代:鎌倉幕府の成立 鎌倉時代:御家人と封建制度 鎌倉時代:承久の乱と執権政治 鎌倉時代:元寇 鎌倉時代:鎌倉仏教 室町時代:建武の新政と南北朝 室町時代:室町幕府の成立 室町時代:勘合貿易 室町時代:応仁の乱と戦国時代 室町時代:北山文化と東山文化 安土桃山時代:戦国大名の登場 安土桃山時代:ヨーロッパ人との出会い 安土桃山時代:豊臣秀吉による天下統一 安土桃山時代:桃山文化 江戸時代:江戸幕府の成立 江戸時代:幕藩体制 江戸時代:士農工商の身分制度 江戸時代:鎖国政策 江戸時代:産業の発達と交通網の整備 江戸時代:元禄文化 江戸時代:江戸時代の三大改革 江戸時代:化政文化 江戸時代:欧米列強の接近と幕府の動揺 江戸時代:開国と幕末の動乱 明治時代:大政奉還、王政復古 明治時代:明治維新 明治時代:富国強兵 明治時代:文明開化 明治時代:自由民権運動と大日本帝国憲法 明治時代:日清戦争・日露戦争 明治時代:不平等条約の改正 明治時代:日韓併合 世界の動き:市民革命 世界の動き:産業革命 世界の動き:アジアの植民地化 大正時代:第一次世界大戦と日本の参戦 大正時代:大正デモクラシー 大正時代:米騒動、社会運動の活発化 昭和時代:世界恐慌と日本の経済危機 昭和時代:軍部の台頭と満州事変 昭和時代:日中戦争と第二次世界大戦 昭和時代:ポツダム宣言受諾と日本の敗戦 昭和時代:民主化政策と日本国憲法 昭和時代:二つの条約 昭和時代:高度経済成長と国民生活の変化 昭和時代:公害問題 世界の動き:国際連合の発足 世界の動き:冷戦 世界の動き:アジア・アフリカ諸国の独立 世界の動き:冷戦の終結とグローバル化 平成時代:日本のバブル経済とその崩壊 現代:現代社会の課題 現代:新型コロナウイルスの流行と影響