一言でいうと、
「国籍や民族、文化的な背景が異なる人々が、お互いの文化的な違いを認め合い、尊重し、対等な関係を築きながら、共に生きていく社会」
のことです。
ここで大切なポイントは3つです。
①違いを認める: 「自分たちの文化が当たり前」と考えるのではなく、「世の中には色々な考え方や習慣、価値観があるんだな」と、まず違いを認識すること。
②尊重する: 相手の文化を「変だ」「間違っている」と否定するのではなく、「そういう文化も大切なんだな」と敬意を払うこと。
③対等な関係: どちらかの文化が上で、どちらかが下という関係ではなく、お互いが社会の一員として、平等な立場で関わり合うこと。
「共生」という言葉には、「ただ同じ場所にいる(共存)」だけでなく、「お互いに支え合い、共に社会を築いていく」という、より積極的な意味が込められています。
現代の日本で、多文化共生の考え方がますます重要になっているのには、グローバル化を背景とした、以下のような社会の変化があります。
● 国際結婚の増加。
● 仕事のために日本で働く外国人労働者の増加(特に、技能実習生や専門的な技術を持つ人々)。
● 留学生の増加。
少子高齢化による労働力不足を背景に、この傾向は今後も続くと予想されています。
観光で日本を訪れる外国人が増え、私たちの日常生活の中で、多様な文化を持つ人々と接する機会が格段に増えました。
インターネットを通じて、世界中の様々な文化やニュースに、誰もが簡単に触れられるようになりました。
もはや、日本は「日本人だけで構成された社会」ではなく、多様な文化的背景を持つ人々が共に暮らす社会へと、大きく変化しているのです。
しかし、異なる文化を持つ人々が共に生きていく上では、様々な課題や摩擦も生まれます。
日本語が分からないことで、役所の手続きや病院での診察、子どもの学校生活などで困難が生じます。
ごみの出し方のルール、夜間の騒音など、文化や習慣の違いが、地域社会でのトラブルの原因となることがあります。
外国人に対する固定観念や、誤った知識に基づく偏見や差別が、依然として存在します。
「外国人だから」という理由で、アパートへの入居を断られたり、就職で不利な扱いを受けたりするなどの問題が起きています。
社会保障(年金や健康保険など)や子どもの教育といった面で、外国人が日本人と同じようにサービスを受けるのが難しい場合があります。
これらの課題を乗り越え、誰もが暮らしやすい多文化共生社会を実現するためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。
役所からの大切なお知らせや、災害時の避難情報などを、複数の言語で発信する。
外国人が生活の中で困ったときに、母国語で相談できる窓口を設ける。
地域で日本語教室を開くなど、外国人が日本語を学ぶ機会を提供する。
社会の仕組みだけでなく、私たち一人ひとりの意識や行動が最も重要です。
相手の文化を知ろうと努力し、関心を持つことが第一歩です。
外国人と話すとき、難しい言葉を避け、簡単な言葉でゆっくり話す「やさしい日本語」を使うことは、誰にでもできる思いやりです。
食文化や音楽など、自分と違う文化に触れることを、新しい発見として楽しむ姿勢が大切です。
「〇〇人はこうだ」というような、安易な決めつけ(ステレオタイプ)で相手を見ないように意識すること。
地域のお祭りやイベントなどに、外国人の住民にも積極的に声をかけ、交流の機会を作ること。
多文化共生社会とは、遠い未来の理想の話ではありません。
私たちの学校や地域社会という身近な場所で、多様な背景を持つ隣人と、どうすれば気持ちよく、豊かに暮らしていけるかを考え、実践していくことなのです。