国民の政治参加:選挙制度

 

 

選挙の四原則とは?

日本国憲法で保障されている、民主的な選挙に不可欠な4つの基本原則のことです。

具体的には、普通選挙平等選挙直接選挙秘密選挙の4つを指します。

 

1. 普通選挙(ふつうせんきょ)

どんな原則?

一定の年齢に達した、すべての国民に、選挙権が与えられる」という原則です。

ポイント

財産(税金をいくら納めているか)、学歴性別人種などで、選挙権を制限してはいけません。

日本の現状

日本では、満18歳以上のすべての日本国民選挙権が与えられています。

(以前は満20歳以上でしたが、2016年に引き下げられました)

歴史的な背景

明治時代に最初の選挙が行われたときは、多くの税金を納めている、25歳以上の男性にしか選挙権がない「制限選挙」でした。

その後、大正時代の普通選挙運動を経て、1925年に納税額の制限が撤廃され(ただし男子のみ)、戦後の1945年に女性にも選挙権が認められ、現在の普通選挙が確立しました。

 

2. 平等選挙(びょうどうせんきょ)

どんな原則?

すべての有権者が持つ一票の価値(重み)は、平等でなければならない」という原則です。

ポイント

お金持ちだから3票、貧しいから1票、といった差別があってはなりません。

これを「一人一票の原則」ともいいます。

日本の現状と課題

現在、日本では「一票の格差」という問題が、この平等選挙の原則に反するのではないかと、たびたび裁判で争われています。

これは、選挙区(議員を選ぶ地域)によって有権者の数に大きな差があるため、「人口の多い選挙区の一票」と「人口の少ない選挙区の一票」とで、議員一人を当選させるのに必要な票数が異なり、一票の価値に不平等が生じてしまう問題です。

 

3. 直接選挙(ちょくせつせんきょ)

どんな原則?

有権者が、代表者(議員など)を、直接自分たちの投票で選ぶ」という原則です。

ポイント

選挙人などを間に挟む「間接選挙」ではありません。

日本の現状

日本の国会議員(衆議院・参議院)、地方議会議員、都道府県知事、市区町村長は、すべてこの直接選挙で選ばれます。

 

(参考)間接選挙の例

アメリカの大統領選挙は、有権者がまず各州の「選挙人」を選び、その選挙人が大統領を選ぶという、間接選挙の仕組みをとっています。

日本の内閣総理大臣も、国民が直接選ぶのではなく、国会議員の中から国会が指名するため、間接的に選ばれていると言えます。

 

4. 秘密選挙(ひみつせんきょ)

どんな原則?

有権者が、誰(どの候補者・政党)に投票したのかを、他人(国も含む)に知られない」という原則です。

ポイント

投票の秘密は、絶対に守られなければなりません。

なぜ必要なのか?

もし誰に投票したかが他人に分かってしまうと、「〇〇さんに投票しないと、後で嫌がらせをされるかもしれない」「会社の上司と同じ候補者に投票しないと、出世に響くかもしれない」といった圧力や脅迫、買収が行われる可能性があります。

そうなると、有権者は自分の本当の意思で投票することができなくなってしまいます。

日本の現状

投票所では、投票用紙に候補者名などを書く記載台は一人ずつ仕切られており、投票用紙には自分の名前を書かない「無記名投票」の方式がとられています。

 

まとめ

選挙の四原則(普通選挙、平等選挙、直接選挙、秘密選挙)の名称、意味、日本の具体的な制度
原則の名称 どんな意味か? 具体的な日本の制度
普通選挙 一定年齢以上なら誰でも選挙権を持つ 満18歳以上のすべての国民
平等選挙 一人一票、その価値は平等 (課題:一票の格差
直接選挙 代表者を直接選ぶ 国会議員、地方議員、首長など
秘密選挙 誰に投票したかは秘密 無記名投票

 

この4つの原則がすべてそろって初めて、選挙は国民の意思を正しく反映する、民主主義の土台となることができるのです。

 

 

選挙制度の基本:選挙区制と代表制

まず、基本的な選挙制度の考え方として、選挙区制代表制の2種類を理解することが大切です。

 

1. 選挙区制(どうやって選ぶか?)

①小選挙区制

一つの選挙区から1人だけ当選者を選ぶ制度。

【特徴】

● 利点(メリット):
選挙の構図が分かりやすく、政権交代が起こりやすい。
二大政党制になりやすい。

● 欠点(デメリット):
当選者以外の候補者に投じられた票は、すべて無駄になってしまう(死票が多くなる)。

 

②大選挙区制

一つの選挙区から複数人(2人以上)の当選者を選ぶ制度。

【特徴】

● 利点(メリット):
小選挙区制に比べて死票が少なくなり、少数意見も議席に反映されやすい
中小政党にも有利。

● 欠点(デメリット):
候補者が多くなり、誰に投票すればよいか分かりにくくなることがある。

 

2. 代表制(何を基準に選ぶか?)

①多数代表制

考え方:各選挙区で、最も多くの票を獲得した候補者・政党が、その選挙区の議席を独占する。

採用例:小選挙区制は、この多数代表制の典型例です。

 

②比例代表制

考え方:各政党の全体の得票率に応じて、議席を配分する制度。

【特徴】

● 利点(メリット):
各政党の支持の割合が、議席数にほぼ正確に反映される。
死票が非常に少なく、様々な国民の意見を議会に反映できる。

● 欠点(デメリット):
国民は政党に投票するため、個々の候補者の顔が見えにくい。

 

日本の衆議院議員総選挙:「小選挙区比例代表並立制」

日本の衆議院議員総選挙では、上記の小選挙区制比例代表制を組み合わせた、非常にユニークな制度が採用されています。

それが「小選挙区比例代表並立制」です。

どんな仕組みか?

有権者(私たち)は、投票日に投票所で2枚の投票用紙を受け取り、2回の投票を行います。

1枚目の投票用紙:小選挙区選挙

● 何を書くか:候補者個人の名前

● どう決まるか:全国を289の小さな選挙区に分け、各選挙区で最も多くの票を獲得した1人だけが当選します。

2枚目の投票用紙:比例代表選挙

● 何を書くか:政党の名前

● どう決まるか:全国を11の大きなブロック(比例ブロック)に分け、各ブロックで、各政党の得票数に応じて、その政党に議席が配分されます。
各政党は、あらかじめ候補者の名簿(当選する順番のリスト)を提出しており、配分された議席数に応じて、名簿の上位の候補者から当選していきます。

重複立候補とは?

日本のこの制度の大きな特徴が「重複立候補」です。

これは、一人の候補者が、小選挙区と比例代表の両方に、同時に立候補できる仕組みです。

もし、小選挙区で落選してしまっても、その候補者が属する政党が比例代表で多くの議席を獲得し、かつその候補者の名簿の順位が高ければ、比例代表で復活当選することがあります。

 

(参考)日本の参議院議員通常選挙の仕組み

参議院議員の選挙は、衆議院とは少し違う制度で行われます。

①選挙区選挙

原則として都道府県単位の選挙区から、人口に応じて1〜6人の当選者を選びます。(大選挙区制が中心)

 

②比例代表選挙

全国を一つのブロックとし、有権者は政党名または候補者個人名のどちらかを書いて投票します。

政党の総得票数(政党名+その党の候補者名)に応じて、各政党に議席が配分されます。

当選者は、名簿の順位ではなく、候補者個人の得票数が多い順に決まります(非拘束名簿式)。

 

まとめ

● 公職選挙法:選挙が行われる際に適用される法律。

● 比例代表制:1つの選挙区から、それぞれの政党の得票数に応じて当選数を決める制度。

● 選挙区制 :大選挙区と小選挙区に分かれる。

衆議院と参議院の選挙制度の比較
項目 衆議院 参議院
制度名 小選挙区比例代表並立制 選挙区制 + 比例代表制
選挙区 小選挙区(1人当選) 都道府県単位(1〜6人当選)
比例代表 ブロック単位(11)
政党名で投票
(拘束名簿式)
全国単位(1)
政党名候補者名で投票
(非拘束名簿式)

選挙制度は、その国の政治の性格を大きく左右します。

それぞれの制度の利点や欠点を理解し、今の日本の制度がどのような特徴を持っているのかを知ることが、賢い有権者になるための第一歩です。

 

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