利潤(りじゅん)の追求を目的として、生産活動を行う経済主体のことです。
土地、労働力、資本(工場や機械など)といった生産要素を使って、私たちが生活する上で必要なモノ(商品)やサービスを生み出しています。
企業の最大の目的は「利潤(りじゅん)」を得ることです。
「利潤」とは、簡単に言うと「もうけ」のことです。
利潤 = 売上 - 費用(コスト)
企業は、商品を売って得たお金(売上)から、その商品を作るのにかかったお金(原材料費、人件費、広告費などの費用)を差し引いた、残りのプラスの部分をできるだけ大きくしようと活動しています。
この利潤を使って、新しい商品を開発したり(研究開発)、新しい工場を建てたり(設備投資)して、さらに大きな利潤を目指します。
①効率的な生産活動
消費者(私たち)が求めている、より品質が良く、より価格の安い商品を、効率的に生産・提供します。
②雇用の創出
人々を労働者として雇い、給料を支払うことで、人々の生活を支え、家計の所得を生み出します。
③税金の納付
得た利潤の一部を、法人税などの税金として国や地方公共団体に納めることで、社会の公共サービスを支えます。
現代の企業の多くは、「株式会社」という形態をとっています。
これは、多くの人々から事業に必要な大きなお金(資本)を集めるのに、非常に優れた仕組みだからです。
株式会社は、事業を始める(または拡大する)ために必要なお金を調達するために、「株式」という証明書を発行して、それを多くの投資家に買ってもらいます。
この株式を買って、会社にお金を出資した人のことを「株主(かぶぬし)」といいます。
● 利益の分配(配当)を受ける権利
会社が利潤を上げた場合、その一部を配当金として受け取ることができます。
● 株主総会に参加する権利
株主総会は、その会社の経営に関する重要事項(役員の選任など)を決める、会社の最高意思決定機関です。
株主は、この株主総会に出席し、持っている株式の数に応じて議決権(投票する権利)を行使して、会社の経営に参加することができます。
株主の責任は、自分が出資した金額の範囲内に限られます。
これを「有限責任」といいます。
もし会社が倒産して莫大な借金を抱えたとしても、株主は、自分が買った株の価値がゼロになるだけで、会社の借金を肩代わりする必要はありません。
この「有限責任」という仕組みがあるからこそ、多くの人々が安心して会社に出資(株式の購入)をすることができるのです。
株式会社では、会社の所有者(オーナー)は、お金を出した株主です。
しかし、何万人、何十万人もいる株主全員が、日常の経営を行うことは不可能です。
そこで、株主は株主総会で、経営の専門家である取締役を選び、彼らに会社の経営を任せます。
そして、取締役の中から選ばれた代表者が代表取締役(社長など)となります。
このように、会社の所有者(株主)と、実際に経営を行う経営者(取締役など)が、基本的には別であるという考え方を「所有と経営の分離」といいます。
近年では、企業はただ利潤を追求するだけでなく、社会の一員として、より良い社会の実現に貢献すべきだという考え方が強まっています。
これを「企業の社会的責任(CSR)」といいます。
優れた企業とは、利潤を上げるだけでなく、こうした社会的な責任もしっかりと果たしている企業である、と評価されるようになっています。
“Corporate Social Responsibility” の頭文字をとった言葉です。
日本語では「企業の社会的責任」と訳されます。
一言でいうと、「企業は、ただ利益を追求するだけでなく、社会の一員(企業市民)として、社会全体がより良くなるように責任ある行動をとるべきだ」という考え方です。
企業は、株主だけでなく、その活動に関わる様々な人々や社会全体に対して責任を負っていると考えます。
このような、企業に関わる利害関係者のことを「ステークホルダー」と呼びます。
※ステークホルダーの例
● 消費者:安全で質の良い商品を提供する。
● 従業員:良い労働環境を整える。
● 取引先:公正な価格で取引をする。
● 株主:企業の価値を高め、利益を還元する。
● 地域社会:地域の環境を守り、文化活動に貢献する。
● 国際社会:人権や環境に配慮した活動を行う。
昔は「企業は利益を上げることこそが最大の社会貢献だ」と考えられていました。
しかし、時代とともに、その考え方は変わってきました。
高度経済成長期に、多くの企業が利益を優先するあまり、有害物質を垂れ流し、深刻な公害を引き起こしました。
この反省から、企業活動が社会や環境に与える悪影響への責任が問われるようになりました。
企業の活動が国境を越えるようになり、発展途上国での劣悪な労働環境や児童労働、環境破壊といった問題が、先進国の消費者に知られるようになりました。
「どうせ同じ商品を買うなら、環境や社会に良いことをしている企業から買いたい」と考える倫理的消費(エシカル消費)に関心を持つ消費者が増えました。
産地偽装や品質データの改ざん、法令違反といった企業の不祥事が相次ぎ、企業に対する社会の目が厳しくなりました。
こうした背景から、企業の価値は、売上や利益といった経済的な側面だけでなく、「いかに社会から信頼されているか」という側面からも評価されるようになったのです。
では、企業は具体的にどのようなCSR活動を行っているのでしょうか。
● 環境に配慮した製品開発(環境保護)。
● 省エネルギー製品やリサイクルしやすい製品の開発。
● 工場でのCO2排出量の削減、再生可能エネルギーの利用。
● 植林活動などの自然保護活動。
● コンプライアンス(法令遵守):法律や社会のルールをきちんと守り、公正な取引を行うこと。
● 消費者保護:安全な製品の提供、正確な情報開示、お客様相談窓口の設置。
● 人権の尊重:従業員の働きやすい環境づくり(長時間労働の是正、育児・介護休業制度の充実など)、サプライチェーン(取引先)における人権侵害の防止。
● 社会貢献活動:
▪ 地域の清掃活動や、お祭りへの協賛。
▪ 文化・芸術活動やスポーツへの支援(メセナ)。
▪ 災害時の被災地支援や義援金の寄付。
▪ ボランティア活動への参加などの社会貢献活動。
コーポレート・ガバナンスとも呼ばれます。
不正や不祥事が起こらないように、企業自身が透明で公正な経営を行うための仕組みを整えることです。(例:社外取締役の設置など)
近年では、これらの環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3つの要素を重視する「ESG投資」という考え方も広がっています。
これは、投資家が企業を評価する際に、財務情報だけでなく、これらのCSR活動への取り組みも判断材料にするという動きです。
現代の企業にとって、CSRは単なるボランティア活動やイメージアップ戦略ではありません。
社会や環境に配慮した責任ある行動をとることは、消費者や投資家からの信頼を得て、長期的に成長し続けるために不可欠な経営課題となっているのです。