公害とは、企業の生産活動や人々の日常生活によって、大気や水、土壌が汚染され、人々の健康や生活環境に被害が及ぶことです。
1950年代後半から1970年代にかけて、日本は「高度経済成長」を遂げ、世界有数の経済大国となりました。
しかし、この時期は経済発展が最優先され、環境への配慮が十分でなかったため、各地で深刻な公害が発生しました。
特に被害が大きかったものは四大公害病として知られています。
| 公害病の名称 | 原因となった地域 | 原因物質 | 症状・被害 |
|---|---|---|---|
| 水俣病 (みなまたびょう) |
熊本県 水俣湾沿岸 | メチル水銀 | 手足のしびれ、言語障害などの中枢神経系の障害 |
| 新潟水俣病 | 新潟県 阿賀野川流域 | メチル水銀 | 水俣病と同様の症状 |
| イタイイタイ病 | 富山県 神通川流域 | カドミウム | 骨がもろくなり、激しい痛みを伴う骨折を繰り返す |
| 四日市ぜんそく | 三重県 四日市市 | 亜硫酸ガス | 激しいぜんそくの発作 |
これらの公害では、多くの人々が健康を害され、命を落とすという悲劇が起きました。
被害者の方々は、原因企業や国・地方自治体を相手に裁判を起こし、その責任を問い続けました。
四大公害病のような深刻な産業公害は減少しましたが、私たちの生活様式が変化したことで、新たな都市型・生活型公害が問題となっています。
● 自動車の排出ガスによる大気汚染
● 家庭から出るごみ(一般廃棄物)の問題
● 生活排水による川や海の汚染
● 近隣の騒音や悪臭、ペットに関するトラブルなど
これらの問題の多くは、私たち一人ひとりが加害者にも被害者にもなりうるという特徴があります。
かつての日本社会は、資源を採掘し、製品を作り、使ったら捨てるという「大量生産・大量消費・大量廃棄」の社会でした。
しかし、このままでは地球の資源は枯渇し、ごみは増え続けてしまいます。
そこで、この一方通行の社会から脱却し、環境への負担が少ない「循環型社会(じゅんかんがたしゃかい)」を築くことが求められています。
これは、ごみをできるだけ出さず、資源を繰り返し大切に使う社会のことです。
循環型社会を実現するための具体的な行動として「3R」が重要とされています。
ごみそのものを減らすこと。
3Rの中で最も優先されるべき取り組みです。
(例)マイバッグやマイボトルを持参する、過剰な包装を断る、詰め替え製品を選ぶ。
使えるものを繰り返し使うこと。
(例)フリーマーケットやリサイクルショップを活用する、着なくなった服を譲る、修理して長く使う。
使い終わったものを資源に戻し、新しい製品の原料として利用すること。
(例)ペットボトルや牛乳パック、古紙などを分別して回収に出す。
日本では、この循環型社会の実現を目指して、「循環型社会形成推進基本法」をはじめ、ごみの分別やリサイクルを推進するための様々な法律が整備されています。
環境問題は、一つの国だけで解決できない地球規模の課題(地球環境問題)に広がっています。
石油や石炭などの化石燃料の大量使用により、二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスが増え、地球の平均気温が上昇する問題。
異常気象や海面の上昇などを引き起こします。
かつてスプレーや冷蔵庫の冷媒に使われたフロンガスなどにより、有害な紫外線を吸収するオゾン層が破壊される問題。
工場や自動車から出る汚染物質が雨に溶け込み、森林を枯らしたり、建物を溶かしたりする問題。
森林伐採や過度な農耕・放牧により、土地が乾燥し、植物が育たなくなる問題。
これらの問題は、国境を越えて影響を及し合うため、国際的な協力が不可欠です。
地球環境を守り、将来の世代も安心して暮らせる社会を維持していく「持続可能な社会」の実現が、世界共通の目標となっています。
私たちの便利な生活は、常に地球環境とつながっています。
公害の教訓を忘れず、3Rを心がけるなど、一人ひとりが日々の生活の中で環境に配慮した行動をとることが、未来の地球を守る大きな力になります。
● 水俣病:工場から流れ出た有機水銀が原因。(熊本県不知火湾)
● 新潟水俣病:工場から流れ出た有機水銀が原因。(新潟県阿賀野川流域)
● イタイイタイ病:鉱山から流れ出たカドミウムが原因。(富山県神通川流域)
● 四日市ぜんそく:工場からの排煙で大気汚染。(三重県四日市市)
循環型社会形成推進基本法 … 3Rの法制化
● 発生抑制(リデュース)
● 再使用(リユース)
● 再生利用(リサイクル)