人権の尊重:日本国憲法

 

 

民主主義とは?

民主主義とは、 「国民が、国の政治のあり方を最終的に決める権利(主権)を持ち、国民のために政治が行なわれる」 という考え方や政治の仕組みのことです。

この民主主義の考え方を、日本の形として最も明確に示したのが日本国憲法であり、その中でも特に重要なのが、これから説明する3つの基本原則です。

 

1. 日本国憲法の三つの基本原則

日本国憲法には、国の政治の根幹をなす「三大原則」があります。

 

①国民主権(こくみんしゅけん)

一言でいうと:「国の政治の主人公は、私たち国民である」ということ。

 

詳しい説明

国の政治を最終的にどうするかを決める力(主権)は、国民にあります。

これは、戦前の大日本帝国憲法で、主権が天皇にあった(天皇主権)ことからの、最も大きな変更点です。

天皇は、政治的な力を持たない、国民全体のまとまりの象徴(シンボル)と位置づけられました。

 

どのように実現されているか?

私たちは、選挙で自分たちの代表者(国会議員など)を選び、その代表者が国会で政治を行ないます(間接民主制・議会制民主主義)。

最高裁判所裁判官の国民審査や、憲法改正の際の国民投票など、国民が直接意思を示す機会もあります(直接民主制)。

 

②基本的人権の尊重(きほんてきじんけんのそんちょう)

一言でいうと:「すべての人が、生まれながらに持っている『人間らしく生きる権利』は、誰からも奪われない」ということ。

 

詳しい説明

人種や性別、身分などに関係なく、すべての人が生まれながらに持っている、自由で平等で、人間らしい生活を送るための権利(基本的人権)を、最大限に尊重し、保障します。

この権利は、たとえ国(政府)であっても、みだりに奪ったり制限したりすることはできません(不可侵の権利)。

戦前の憲法では、国民の権利は「法律の範囲内」という条件付きでしたが、日本国憲法では、人権が最も優先されるべき価値であるとされています。

 

 

③平和主義(へいわしゅぎ)

一言でいうと:「二度と戦争をしない、平和を愛する国である」ということ。

 

詳しい説明

過去の悲惨な戦争への深い反省から、日本は国際的な争いを解決するために、戦争という手段を永久に放棄することを宣言しました。

その目的を達成するため、戦力(軍隊)は持たず、国が戦争をする権利(交戦権)も認めないと定めています。

(補足): この第9条の解釈をめぐっては、「自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は、ここで言う『戦力』にあたるのか、あたらないのか」といった、現在も続く重要な議論があります。

 

まとめ

日本国憲法の三原則(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)とその内容
原則の名称 どんな意味か 憲法のどこに書かれているか(主に)
国民主権 政治の主人公は国民 前文、第1条
基本的人権の尊重 「人間らしく生きる権利」を最大限に尊重 第11条、第97条、第13条など
平和主義 二度と戦争をしない 前文、第9条

 

これらの三つの原則は、互いに深く関連し合っており、一つとして欠かすことのできない日本国憲法の柱です。

国民主権の社会だからこそ、一人ひとりの基本的人権が大切にされ、そして、人権が尊重される平和な社会を築くために、平和主義を貫く。

このように、三つの原則は一体となって、日本の民主政治の根幹を支えているのです。

 

2. 天皇の位置づけ:「象徴」としての役割

大日本帝国憲法では、天皇は主権者であり、国のすべての統治権を持つ「元首」とされていました。

しかし、日本国憲法では天皇の地位は大きく変わりました。

 

● 象徴天皇制

日本国憲法第1条では、天皇を「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と定めています。

これは、天皇が主権者ではなく、国民全体のまとまりの象徴(シンボル)である、ということを意味します。

 

● 国民の総意に基づく地位

天皇のこの「象徴」としての地位は、「主権の存する日本国民の総意に基づく」とされています。

つまり、天皇の地位は国民の意思によって支えられている、ということです。

 

● 国事行為

天皇は政治的な決定権を持たず、「国政に関する権能を有しない」と定められています。

天皇が行なうのは、法律の公布、国会の召集、栄典の授与など、内閣の助言と承認に基づいて行なわれる儀礼的・形式的な「国事行為」に限られています。

 

3. 憲法の改正:厳格な手続き

憲法は国の最高法規であるため、その内容は簡単には変えられないよう、厳しい改正手続き(硬性憲法)が定められています。

 

憲法改正の手続き(憲法第96条)

 

● 国会の発議

まず、国会が憲法改正の案(憲法改正原案)をまとめ、国民に提案(発議)します。

この発議には、衆議院と参議院のそれぞれの「総議員の3分の2以上」という、非常に多くの議員の賛成が必要です。

 

● 国民投票

国会が発議した改正案について、今度は主権者である国民が直接、賛成か反対かの意思を示します。

これを「国民投票」と呼びます。

満18歳以上の日本国民が投票権を持ちます。

 

● 承認と公布

国民投票で、有効投票の「過半数」の賛成があれば、憲法改正は国民に承認されたことになります。

これを受けて、天皇が国民の名で改正憲法を公布します。

このように、憲法を改正するには、国会議員の大多數の賛成と、国民の過半数の賛成という、二つの高いハードルを越えなければなりません。

これは、時の権力者が安易に憲法を変えてしまうことを防ぎ、国民の権利をしっかりと守るための重要な仕組みなのです。

 

まとめ

 

日本国憲法の基本原則

 

<天皇>

天皇は「日本国と日本国民統合の象徴」であり、参政権はない。

 

① 国民主権

主権は国民にあり、天皇は内閣の助言と承認によって国事行為のみを行なう。

 

② 基本的人権の尊重

いかなる国家権力によっても侵されない永久の権利

 

③ 平和主義

第9条で平和主義を宣言し、戦争の放棄を定めている。

非核三原則 … 持たず、作らず、持ち込ませず

 

憲法の改正

衆議院、参議院の各院の3分の2以上の参政で国会が発議し、国民投票で過半数の同意があれば、改正できる。

 

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