国民所得とは、一言でいうと、「国全体で、一年間にどれだけの価値が新たに生み出されたかを示す合計額」のことです。
国の経済は、家計・企業・政府という3つの経済主体が、モノやサービスを生産し、それを分配(給料など)し、支出(消費)するというサイクルで成り立っています。
このサイクルの大きさを金額で表したものが国民所得です。
国民所得にはいくつかの指標がありますが、現在、国の経済規模を表す指標として最も広く使われているのがGDP(国内総生産)です。
Gross Domestic Product
「一年間に、国内で、新たに生産されたモノやサービスの付加価値の合計額」
この定義を、3つのポイントに分けて理解することが大切です。
GDPは、ある一定期間(通常は1年間、または四半期)の経済活動を測る指標です。
今年生産された自動車は今年のGDPに含まれますが、去年生産された中古車が売買されても、それは今年のGDPには含まれません。
日本の国の中(領土内)で生み出された価値であれば、外国の企業や外国人が生産したものも含まれます。
例:日本にある外資系ハンバーガーショップの売上は、日本のGDPに含まれる。
逆に、日本の企業や日本人が海外で生産したものは、日本のGDPには含まれません。
例:日本の自動車メーカーが、アメリカの工場で生産した自動車の価値は、アメリカのGDPに含まれる。
生産活動の各段階で、新たに付け加えられた価値のことです。
もし、最終的な製品の値段だけを合計してしまうと、途中の原材料の値段が何度も重複して計算されてしまいます。
それを防ぐために「付加価値」という考え方を使います。
農家が小麦を生産し、製粉会社に10円で売る。
→ 農家の付加価値:10円
製粉会社が、その小麦を加工して小麦粉にし、パン屋さんに30円で売る。
→ 製粉会社の付加価値:20円(30円-10円)
パン屋さんが、その小麦粉でパンを作り、お客さんに100円で売る。
→ パン屋さんの付加価値:70円(100円-30円)
この場合、GDPに計上されるのは、付加価値の合計である 10円+20円+70円=100円 となります。
これは、最終的に生産されたパンの価格(最終生産物の合計額)と一致します。
GDPの額が大きければ大きいほど、その国の経済規模が大きいことを示します。
去年のGDPと比べて、今年のGDPが何パーセント増えたか(減ったか)を示す指標です。
この経済成長率がプラスであれば「経済が成長した(景気が良い)」、マイナスであれば「経済が縮小した(景気が悪い)」と判断できます。
政府は、この経済成長率の目標を掲げて、経済政策を行います。
Gross National Product
昔はよく使われていた指標です。
「国民」が基準なので、海外にいる日本人が生み出した価値も含まれますが、日本にいる外国人が生み出した価値は含まれません。
グローバル化が進んだ現代では、国の経済の実態をより正確に表すのはGDPであるとされ、GNPはあまり使われなくなりました。(現在はGNI(国民総所得)という指標が使われます)
GDPを、その国の人口で割ったものです。
国民一人ひとりの平均的な豊かさを示す指標として使われます。
GDPの総額が大きくても、人口が非常に多ければ、一人当たりの豊かさはそれほど高くない、ということもあります。
このように、GDPは、国の経済の健康状態を知るための「健康診断書」のようなものであり、その動きを見ることで、今の日本の経済がどのような状態にあるのかを知ることができるのです。