日本の家族の形は、法律や社会の変化とともに大きく変わってきました。
第二次世界大戦前の日本では、「家(いえ)」制度という考え方が法律(旧民法)で定められていました。
この制度のもとでは、家の主である「戸主(こしゅ)」に大きな権限があり、家族は家の存続と繁栄を第一に考えることが求められました。
結婚も個人の意思より家同士の結びつきが重視され、長男が家を継ぐ「家督相続」が基本でした。
その結果、祖父母、親、子どもが一緒に暮らす三世代同居の「拡大家族」が一般的な姿でした。
戦後、日本国憲法が制定され、個人の尊厳と両性の平等がうたわれるようになりました。
これに伴い民法も改正され、「家」制度は廃止されました。
また、高度経済成長期になると、多くの人が仕事を求めて都市部へ移り住むようになり、親元を離れて夫婦と未婚の子どもだけで暮らす核家族(かくかぞく)が急増しました。
この核家族は、現代の日本で最も一般的な家族形態となっています。
現代の日本では、核家族が中心であると同時に、人々の価値観やライフスタイルの変化に伴い、家族の形はさらに多様化しています。
夫婦のみ、または夫婦と未婚の子どもからなる世帯。
一人親と未婚の子どもからなる世帯も含まれます。
結婚しない人の増加や、配偶者と死別した高齢者など、一人で生活する世帯が大幅に増えています。
かつては夫が働き、妻が専業主婦という家庭が主流でしたが、現在では夫婦ともに働く共働き世帯が一般的になっています。
● 子どもが独立した後の夫婦のみの世帯
● 事実婚や同性パートナーなど、法律上の婚姻関係にとらわれないカップル
● 国際結婚による家族
● 離婚や再婚による親子関係など
このように、「家族」と一言で言っても、その形は一つではなく、それぞれの生き方に応じて様々な形が存在する社会になっています。
家族の形が変化する中で、現代の家族は様々な課題に直面しています。
これらの多くは、社会全体の課題とも深く結びついています。
結婚する年齢の上昇(晩婚化)や結婚しない人の増加、子育てにかかる経済的負担などから、子どもの数が減少する少子化が進んでいます。
同時に、医療の進歩により平均寿命が延び、高齢化も急速に進んでいます。
この少子高齢化は、社会全体の労働力不足や、年金・医療などの社会保障制度に大きな影響を与えています。
核家族化が進んだことで、祖父母などから育児のサポートを得にくくなりました。
また、共働き世帯が増える中で、仕事と育児の両立が大きな課題となっています。
介護についても同様で、高齢の親の介護を家族だけで担うことが難しくなっています。
中には、大人が担うべき家事や家族の世話を、子どもが行っている「ヤングケアラー」の問題も指摘されています。
都市部への人口集中や核家族化により、近所付き合いが減り、地域社会とのつながりが薄れています。
その結果、育児や介護で困ったときに孤立しやすくなったり、児童虐待やDV(ドメスティック・バイオレンス)といった問題が外部から見えにくくなったりする危険性もあります。
このように、家族は社会の変化を映し出す鏡のような存在です。
歴史を学び、現代の多様な形や課題を知ることは、これからの社会で私たちがどのように支え合って生きていくべきかを考える上で非常に重要です。
最も基礎的な社会集団。
以前は大家族が多かったが、近年は核家族が増加している。
また、女性の社会進出によって男女の役割の変化し、様々な家族体系が生まれている。