人権の尊重:人権思想の発達

 

 

人権思想の発達:基本的人権の確立の歴史

ここでは、現在の私たちが持っている「基本的人権」がどのようにして確立されてきたかを学びます。
これらの思想や歴史を知ることは、日本国憲法の基本原理(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)を理解するために不可欠です。

 

1. 近代民主政治の成立を支えた思想家

17世紀から18世紀にかけて、ヨーロッパでは「王権神授説」を否定し、国民が政治の主体であると考える思想家たちが現れました。

① ロック(イギリス)

著作:『市民政府二論(統治二論)』

思想:人間は生まれながらにして、生命・自由・財産を保持する自然権を持っていると主張しました。政治がその権利を侵害した場合、国民には抵抗権(革命権)があると考えました。

② モンテスキュー(フランス)

著作:『法の精神』

思想:国家権力を立法・行政・司法に分け、互いに抑制し合わせる三権分立を提唱しました。これは現在の民主政治の仕組みの基礎となっています。

③ ルソー(フランス)

著作:『社会契約論』

思想:国家は国民の合意(契約)によって成立したものであり、主権は国民にあるという国民主権の考え方を強く主張しました。フランス革命に大きな影響を与えました。

 

2. 人権の歴史と重要な宣言

思想家たちの考えは、実際の革命を通じて具体的な「宣言」や「法律」として形になっていきました。

マグナ・カルタと権利の章典(イギリス)

13世紀のマグナ・カルタ(大憲章)は、国王の権力を制限する最初の一歩となりました。その後、17世紀の名誉革命の際に制定された権利の章典により、議会政治と法の支配が確立されました。

アメリカ独立宣言(アメリカ)

1776年に発表されました。ジェファーソンらが起草し、人間の平等や生命・自由・幸福追求の権利、抵抗権を明記しました。

フランス人権宣言(フランス)

1789年のフランス革命で発表されました。自由・平等・博愛を掲げ、主権在民や私有財産の不可侵を確立しました。

ワイマール憲法(ドイツ)

1919年に制定された憲法です。世界で初めて、人間らしい生活を送るための権利である社会権を規定したことで知られています。

 

3. 人権思想の発達まとめ(年表)

世界の人権思想・宣言の主な歩み
年代 名称(国) 主な内容・特徴
1215年 マグナ・カルタ(イギリス) 国王の権力を制限し、貴族の権利を認めた。
1689年 権利の章典(イギリス) 議会政治の基礎を確立し、国王の独裁を禁止。
1776年 アメリカ独立宣言(アメリカ) 自然権、幸福追求権、抵抗権の明記。
1789年 フランス人権宣言(フランス) 自由、平等、国民主権
1919年 ワイマール憲法(ドイツ) 世界で初めて社会権(生存権)を保障。
1948年 世界人権宣言(国際連合) 人権保障を国際的な基準として定めた。

 

覚える時のコツ!

1. 「歴史」と「公民」のつながりを意識する:

中学2年生の歴史で習う「市民革命」と内容が重複しています。歴史では「いつ起きたか(出来事)」を重視し、公民では「どのような権利が確立されたか(思想)」を重視します。

2. 思想家とキーワードをセットにする:

「ロック=抵抗権」「モンテスキュー=三権分立」「ルソー=国民主権」という風に、名前と代表的な言葉をワンセットで覚えるのが得点の近道です。

3. 社会権の登場に注目:

18世紀までの人権(自由権)は「国家に邪魔されない権利」でしたが、20世紀のワイマール憲法以降は「国家に助けてもらう権利(社会権)」が登場しました。この変化はテストによく出ます。

 

 

まとめ

 

① 世界の人権思想のおこり

● 宗教改革

 ドイツでは、ルターが「人間は神の前ではすべて平等」とし、自由と尊厳を主張。

● 名誉革命

 イギリスでは、「権利の章典」を認めさせ、国王による政治を制限。

● 独立宣言

 アメリカでは、独立戦争で勝利し、イギリスの植民地から解放。

● 人権宣言

 フランスでは、フランス革命が起こり、人間の「自由・平等・博愛」を主張。

 

② 世界の思想家

● ジョン=ロック(イギリス) …『市民政府二論』

● モンテスキュー(フランス) …『法の精神』

● ルソー(スイス) …『社会契約論』

 

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