日本国憲法は、私たちに多くの権利(基本的人権)を保障してくれていますが、同時に、社会の一員として果たさなければならない責任、つまり「義務」についても定めています。
憲法で定められている国民の義務は、以下の3つです。
これを「国民の三大義務」と呼びます。
第30条「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」
国や地方公共団体(都道府県や市区町村)が、社会全体のために活動するために必要なお金、つまり税金を納める義務です。
私たちが当たり前のように利用している、道路や水道、学校、警察、消防、ごみの収集といった公共サービスは、すべて税金によって運営されています。
また、年金や医療、介護といった社会保障も、税金が重要な財源となっています。
もし誰も税金を納めなくなってしまったら、政府や自治体は活動できなくなり、私たちの社会生活は成り立たなくなってしまいます。
納税は、社会のメンバー全員で、社会を維持するためのコストを分担し合う、非常に重要な責任なのです。
第27条「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」
自分の能力に応じて働き、社会に参加し、貢献する義務です。
この義務は、「国が国民に特定の仕事を強制する」という意味ではありません。
それは憲法が禁じている「苦役」にあたります。
この義務は、むしろ倫理的・道徳的な側面が強く、「働く意欲と能力のある人は、社会の一員として働き、自立した生活を送ることが望ましい」という、社会全体の理想を示したものと解釈されています。
社会は、人々が働くことによって生み出すモノやサービスによって成り立っています。
みんなが働くことで、社会全体が豊かになり、発展していくのです。
また、憲法第27条は、勤労を義務とするだけでなく、国民の「勤労の権利」も保障しています。
これは、国に対して、国民が働けるように、働く機会を確保するよう求める権利でもあります。
第26条「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」
親(保護者)が、自分の子どもに、小学校と中学校の義務教育を受けさせる義務です。
この義務は、「子ども自身」に課せられた義務ではなく、「親(保護者)」に課せられた義務です。
子ども自身にとっては、これは「教育を受ける権利」の裏返しです。
子どもたちが、将来社会の一員として自立し、豊かな人生を送るためには、読み・書き・計算といった基礎的な学力や、社会のルールを学ぶことが不可欠です。
親の経済的な事情や考え方によって、子どもが教育を受ける機会を奪われることがないように、国が親に対して、子どもを学校に通わせることを義務付けているのです。
この義務を実質的に保障するため、憲法は「義務教育は、これを無償とする」と定めています。
(※ただし、無償なのは授業料などであり、給食費や教材費などは保護者負担となっています。)
| 義務の名称 | 誰が、何を、なぜするのか? |
|---|---|
| 納税の義務 | 国民全員が、公共サービスや社会保障を維持するために、税金を納める。 |
| 勤労の義務 | 働く能力のある国民が、社会を支え、自立した生活を送るために、働く。(※倫理的な義務) |
| 子どもに普通教育を 受けさせる義務 |
親(保護者)が、子どもの将来と権利を守るために、子どもに義務教育を受けさせる。 |
これらの義務は、私たちが社会の中で、お互いに支え合いながら、豊かで安定した生活を送るために欠かせない、基本的なルールなのです。