一言でいうと、「地域(都道府県や市区町村)の政治を、その地域の住民自身の手で、自主的に行うこと」です。
国の政治が、日本全体の大きなルールや外交などを決めるのに対し、地方自治は、
①ごみの収集や水道、公園の管理
②小・中学校や図書館の運営
③地域の道路や橋の整備
④お年寄りの介護や子育て支援
といった、私たちの日常生活に直接関わる、身近な仕事を担当しています。
日本国憲法第92条では、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。」と定められており、地方自治は民主主義の重要な土台(「民主主義の学校」とも呼ばれます)とされています。
地方自治は、国の政治と同じように、議会と首長という二つの機関が、お互いをチェックし合うことで運営されています。
構成:地域の住民による選挙で選ばれた地方議員(都道府県議会議員、市区町村議会議員)で構成されます。
役割:
● 地域の法律である「条例」を制定・改正・廃止する。
● 地域の「予算」(一年間のお金の使い道)を審議し、決定する。
● 地域の行政が正しく行われているかをチェック(監視)する。
構成:地域の住民による選挙で直接選ばれた首長(都道府県知事、市区町村長)がトップです。
役割:
● 議会で決められた条例や予算に基づいて、実際に地域の仕事(行政)を行なう。
● 条例案や予算案を作成し、議会に提出する。
このように、地域の住民が、議員と首長という二種類の代表を、それぞれ別の選挙で直接選ぶ仕組みを「二元代表制」といいます。
これは、国の政治(国会が首相を選ぶ議院内閣制)との大きな違いです。
議会と首長が、お互いに独立した立場で緊張関係を保ち(抑制と均衡)、協力し合うことで、より良い地域運営を目指します。
地方自治では、選挙で代表者を選ぶ(間接民主制)だけでなく、住民が直接、地域の政治に働きかけることができる様々な権利が保障されています。
これを「直接請求権」といいます。
いずれも、その地域の有権者の一定数以上の署名を集めて、請求する必要があります。
| 請求の種類 | 請求先 | 何を求めるか | 必要な署名数 |
|---|---|---|---|
| 条例の制定・改廃請求 | 首長 | 新しい条例を作ったり、今の条例を変えたり、なくしたりすることを求める。 | 有権者の50分の1以上 |
| 事務の監査請求 | 監査委員 | 自治体の仕事やお金の使い方が正しいか、チェック(監査)するよう求める。 | 有権者の50分の1以上 |
| 議会の解散請求 | 選挙管理委員会 | 議会を解散(リコール)し、議員の選挙をやり直すよう求める。 | 有権者の3分の1以上 |
| 議員・首長の解職請求 (リコール) |
選挙管理委員会 | 特定の議員や首長を、任期の途中で辞めさせる(リコール)よう求める。 | 有権者の3分の1以上 |
このほかにも、地域の特に重要な問題について、住民の意思を問う住民投票が行なわれることもあります。(条例に基づいて実施される)
50分の1で請求できるのは、ルール(条例)やお金(監査)といった、比較的穏やかな内容。
3分の1という、より多くの署名が必要なのは、人(議会や議員・首長)をクビにするという、非常に強力で影響の大きい内容。
このように、私たち住民には、選挙以外にも、自分たちの地域の政治を動かすための強力な手段が与えられています。
これらの権利を正しく理解し、必要に応じて活用していくことが、より良い地域社会を作ることにつながるのです。
私たちの生活を支える地方自治ですが、多くの課題も抱えています。
地域の仕事に必要な歳入(収入)のうち、自治体が自分で集められる地方税だけでは足りないことが多いです。
そのため、国からの補助金(国庫支出金)や、使い道を自治体が比較的自由に決められる地方交付税交付金に頼っているのが現状です。
国への財政的な依存が高まると、地域の自主性が損なわれる恐れがあります。
地方選挙の投票率が低い傾向にあり、住民の意思が十分に政治に反映されていないという問題があります。
都市部と過疎地域とでは、人口や産業、税収に大きな差があり、住民が受けられる行政サービスにも格差が生まれています。
これらの課題を解決し、自分たちの地域をより良くしていくためには、私たち住民一人ひとりが、地域の政治に関心を持ち、選挙や直接請求権などを通じて、積極的に参加していくことが不可欠なのです。
地方公共団体には、議決機関と執行機関がある。
議決機関である地方議会では、地方議員を、執行機関では、首長を、それぞれ選挙で選ぶ。
地方議会は都道府県議会と市町村議会とに分かれ、任期は4年で、解散がある。
首長:都道府県の場合は知事、市町村の場合は市町村長。
1. 条例の制定・改正・廃止
2. 予算の決議
「地域の住民が、有権者の一定数以上の署名を集めることで、条例の制定や議会の解散などを直接請求できる権利」
住民は一定数以上の署名を集めると、条例の制定・改廃や、首長の解職、議会の解散を請求することができる。
直接請求権には、主に以下の4種類があります。これらはすべて地方自治法という法律で定められている。
| 種類 | 必要署名数 | 請求先 | 決定 |
|---|---|---|---|
| 条例の制定・改廃 | 有権者の1/50以上 | 首長 | 議会を招集 |
| 監査請求 | 有権者の1/50以上 | 監査委員 | 監査し公表 |
| 首長などの解職請求 | 有権者の1/3以上 | 選挙管理委員会 | 住民投票→過半数の賛成 |
| 議会の解散請求 | 有権者の1/3以上 | 選挙管理委員会 | 住民投票→過半数の賛成 |
歳入 :都道府県税や市町村税などの地方税と、 国から配分される地方交付税などに分けられる。
歳出 :教育費、土木費など。