ヨーロッパでは、歴史上、多くの戦争が繰り返されてきました。
特に、二度の大きな世界大戦はヨーロッパが主な戦場となり、甚大な被害をもたらしました。
このような悲劇を二度と繰り返さないために、特定の資源を共同で管理することから協力が始まりました。
かつて対立していたフランスとドイツなどが中心となり、石炭や鉄鋼といった戦争に必要な資源を共同管理することで、戦争を防ごうと考えました。
アメリカやソビエト連邦(当時)といった大国に対抗するため、ヨーロッパ全体で一つの大きな市場を作り、経済的に豊かになることを目指しました。
この動きは、ECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体)からEC(ヨーロッパ共同体)へと発展し、1993年に現在のEU(欧州連合)が発足しました。
本部はベルギーのブリュッセルに置かれています。
EUは、加盟国間の人、モノ、サービス、資本の移動を自由にする「単一市場」を形成しています。
これを実現するために、様々な取り組みが行われています。
2002年から、多くの加盟国で共通の通貨「ユーロ」が使われるようになりました。
● 両替の手間や手数料がなくなり、旅行や貿易が便利になりました。
● EU域内の価格が比較しやすくなり、企業間の競争が活発になりました。
● 各国が独自の金融政策をとれなくなるため、経済状況の悪い国が出た場合に対応が難しくなります。
● 経済的に豊かな国とそうでない国の間で、経済格差が問題となることがあります。
シェンゲン協定に加盟している国々の間では、パスポートなどの提示なしで国境を自由に通過できます。
これにより、まるで国内を移動するように、人々は簡単に行き来できるようになりました。
● 国境を越えて通勤や通学、買い物に行くことが日常的になりました。
● トラックによる物資の輸送がスムーズになり、物流が効率化されました。
EUは経済だけでなく、様々な分野で協力を進めています。
フランスやドイツなどが協力して、航空機「エアバス」を共同生産するなど、国際的な競争力を持つ製品を生み出しています。
環境問題や安全基準など、EU全体で共通のルールを設けています。また、外交や安全保障の分野でも協力関係を深めています。
統合が進む一方で、EUはいくつかの課題にも直面しています。
比較的所得水準の高い西ヨーロッパの国々と、近年加盟した東ヨーロッパの国々との間で経済的な格差があります。
これにより、賃金の安い東ヨーロッパへ工場が移転したり、仕事を求めて人々が西ヨーロッパへ移動することで、失業問題が起こることもあります。
加盟国が増えたことで、各国の意見をまとめるのが難しくなっています。
難民の受け入れ問題や、財政問題などで各国の足並みがそろわないこともあります。
2020年、イギリスが国民投票の結果、EUから離脱しました。
これは、EUが抱える課題を象徴する出来事となりました。