ヨーロッパ・EU(欧州連合)

 

 

1. なぜヨーロッパは統合を目指したのか?

ヨーロッパでは、歴史上、多くの戦争が繰り返されてきました。

特に、二度の大きな世界大戦はヨーロッパが主な戦場となり、甚大な被害をもたらしました。

このような悲劇を二度と繰り返さないために、特定の資源を共同で管理することから協力が始まりました。

平和の実現:

かつて対立していたフランスとドイツなどが中心となり、石炭や鉄鋼といった戦争に必要な資源を共同管理することで、戦争を防ごうと考えました。

経済的な発展:

アメリカやソビエト連邦(当時)といった大国に対抗するため、ヨーロッパ全体で一つの大きな市場を作り、経済的に豊かになることを目指しました。

この動きは、ECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体)からEC(ヨーロッパ共同体)へと発展し、1993年に現在のEU(欧州連合)が発足しました。

本部はベルギーのブリュッセルに置かれています。

 

2. EUによる統合の具体的な取り組み

EUは、加盟国間の人、モノ、サービス、資本の移動を自由にする「単一市場」を形成しています。

これを実現するために、様々な取り組みが行われています。

共通通貨「ユーロ」の導入

2002年から、多くの加盟国で共通の通貨「ユーロ」が使われるようになりました。

利点(メリット)

● 両替の手間や手数料がなくなり、旅行や貿易が便利になりました。

● EU域内の価格が比較しやすくなり、企業間の競争が活発になりました。

欠点(デメリット)

● 各国が独自の金融政策をとれなくなるため、経済状況の悪い国が出た場合に対応が難しくなります。

● 経済的に豊かな国とそうでない国の間で、経済格差が問題となることがあります。

シェンゲン協定による国境検査の廃止

シェンゲン協定に加盟している国々の間では、パスポートなどの提示なしで国境を自由に通過できます。
これにより、まるで国内を移動するように、人々は簡単に行き来できるようになりました。

生活の変化

● 国境を越えて通勤や通学、買い物に行くことが日常的になりました。

● トラックによる物資の輸送がスムーズになり、物流が効率化されました。

 

3. 統合による協力の広がり

EUは経済だけでなく、様々な分野で協力を進めています。

産業の協力:

フランスやドイツなどが協力して、航空機「エアバス」を共同生産するなど、国際的な競争力を持つ製品を生み出しています。

政策の共通化:

環境問題や安全基準など、EU全体で共通のルールを設けています。また、外交や安全保障の分野でも協力関係を深めています。

 

4. EUが抱える課題

統合が進む一方で、EUはいくつかの課題にも直面しています。

経済格差:

比較的所得水準の高い西ヨーロッパの国々と、近年加盟した東ヨーロッパの国々との間で経済的な格差があります。
これにより、賃金の安い東ヨーロッパへ工場が移転したり、仕事を求めて人々が西ヨーロッパへ移動することで、失業問題が起こることもあります。

政治的な対立:

加盟国が増えたことで、各国の意見をまとめるのが難しくなっています。
難民の受け入れ問題や、財政問題などで各国の足並みがそろわないこともあります。

イギリスの離脱(ブレグジット):

2020年、イギリスが国民投票の結果、EUから離脱しました。
これは、EUが抱える課題を象徴する出来事となりました。