東南アジアを理解する上で最も重要なのがASEAN(アセアン)です。
正式名称は「東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asian Nations)」。
地域の平和と安定、経済成長などを目指して協力し合う、東南アジア10カ国のグループです。
加盟国間の関税(輸入品にかける税金)をなくすなどして、人・モノ・お金の移動を活発にする取り組みを進めています。
インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス
東南アジアの農業は、自分たちが食べるための米作り(稲作)が中心でしたが、歴史的な背景から特別な農業形態(プランテーション農業)が広まりました。
かつてこの地域を支配していたヨーロッパの国々が、自分たちの国で売るための商品を大規模に生産するために開いた、広大な農園(プランテーション)のことです。
一つの商品作物(売るための作物)だけを栽培するのが特徴です。
| 商品作物 | 主な生産国 |
|---|---|
| 天然ゴム | タイ、インドネシア、マレーシア |
| アブラヤシ (パーム油の原料) |
インドネシア、マレーシア (この2カ国で世界の生産の大部分を占める) |
| コーヒー | ベトナム |
| バナナ | フィリピン |
| カカオ | インドネシア |
● 価格変動のリスク:特定の作物の国際的な価格が下がると、国の経済が大きな打撃を受けてしまいます。
● 環境問題:近年、アブラヤシ農園などを開発するために、貴重な熱帯雨林が大規模に伐採され、環境破壊が深刻な問題となっています。
1980年代以降、東南アジア諸国は急速に工業化を進め、経済的に大きく成長しました。
安くて豊富な労働力を求めて、日本や欧米などの先進国が工場をたくさん建設したためです。
政府が輸出加工区(ゆしゅつかこうく)などを設け、外国企業を積極的に誘致したことも大きな理由です。
● 軽工業からスタート:最初は、衣類や食品加工など、比較的簡単な技術で作れる軽工業が中心でした。
● 重化学工業へ:次第に、機械や自動車部品、電化製品など、より高度な技術が必要な重化学工業へと発展していきました。
● タイ:日系企業が多く進出し、自動車の生産が盛んなため「東洋のデトロイト」と呼ばれます。
● マレーシア、ベトナム:コンピュータ部品や家電製品などの電気機械工業が発展しています。
東南アジアは「文化のモザイク(寄せ集め)」と呼ばれるほど、非常に多様な人々が暮らす地域です。
各国に多数派の民族がいる一方、山岳地帯には様々な少数民族が暮らしています。
また、経済活動で大きな力を持っているのが、中国から移り住んできた人々の子孫である「華人(かじん)」です。
宗教の分布は、国や地域によってくっきりと分かれているのが特徴です。
| 宗教 | 主に信仰されている国・地域 |
|---|---|
| 仏教 | タイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマーなど、大陸部で広く信仰されています。 |
| イスラム教 | インドネシア(世界最大のイスラム教徒人口を抱える)、マレーシア、ブルネイなど、島しょ部で広く信仰されています。 |
| キリスト教 | フィリピン(スペインの植民地だった影響)、東ティモール(ポルトガルの植民地だった影響) |
このように、東南アジアはASEANという枠組みで協力しながらも、経済発展の裏にある課題や、国内の多様な文化をどうまとめていくかという、複雑でダイナミックな側面を持つ地域なのです。