東南アジア

 

 

1. ASEAN(東南アジア諸国連合)

東南アジアを理解する上で最も重要なのがASEAN(アセアン)です。

ASEANとは?

正式名称は「東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asian Nations)」。

地域の平和と安定、経済成長などを目指して協力し合う、東南アジア10カ国のグループです。

加盟国間の関税(輸入品にかける税金)をなくすなどして、人・モノ・お金の移動を活発にする取り組みを進めています。

加盟国(10カ国)

インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス

 

2. プランテーション農業:歴史と現代の課題

東南アジアの農業は、自分たちが食べるための米作り(稲作)が中心でしたが、歴史的な背景から特別な農業形態(プランテーション農業)が広まりました。

プランテーション農業とは?

かつてこの地域を支配していたヨーロッパの国々が、自分たちの国で売るための商品を大規模に生産するために開いた、広大な農園(プランテーション)のことです。

一つの商品作物(売るための作物)だけを栽培するのが特徴です。

主な作物と生産国

東南アジアの主な商品作物と生産国
商品作物 主な生産国
天然ゴム タイ、インドネシア、マレーシア
アブラヤシ
(パーム油の原料)
インドネシアマレーシア
(この2カ国で世界の生産の大部分を占める)
コーヒー ベトナム
バナナ フィリピン
カカオ インドネシア

課題

価格変動のリスク:特定の作物の国際的な価格が下がると、国の経済が大きな打撃を受けてしまいます。

環境問題:近年、アブラヤシ農園などを開発するために、貴重な熱帯雨林が大規模に伐採され、環境破壊が深刻な問題となっています。

 

3. 急速な工業化:「アジアの工場」へ

1980年代以降、東南アジア諸国は急速に工業化を進め、経済的に大きく成長しました。

なぜ工業化が進んだのか?

安くて豊富な労働力を求めて、日本や欧米などの先進国が工場をたくさん建設したためです。

政府が輸出加工区(ゆしゅつかこうく)などを設け、外国企業を積極的に誘致したことも大きな理由です。

工業化の進展

軽工業からスタート:最初は、衣類や食品加工など、比較的簡単な技術で作れる軽工業が中心でした。

重化学工業へ:次第に、機械や自動車部品、電化製品など、より高度な技術が必要な重化学工業へと発展していきました。

各国の特徴的な工業

タイ:日系企業が多く進出し、自動車の生産が盛んなため「東洋のデトロイト」と呼ばれます。

マレーシア、ベトナム:コンピュータ部品や家電製品などの電気機械工業が発展しています。

 

4. 多様な民族・宗教・文化

東南アジアは「文化のモザイク(寄せ集め)」と呼ばれるほど、非常に多様な人々が暮らす地域です。

多様な民族

各国に多数派の民族がいる一方、山岳地帯には様々な少数民族が暮らしています。

また、経済活動で大きな力を持っているのが、中国から移り住んできた人々の子孫である「華人(かじん)」です。

多様な宗教

宗教の分布は、国や地域によってくっきりと分かれているのが特徴です。

東南アジアの主な宗教と信仰されている地域
宗教 主に信仰されている国・地域
仏教 タイカンボジアベトナムミャンマーなど、大陸部で広く信仰されています。
イスラム教 インドネシア(世界最大のイスラム教徒人口を抱える)、マレーシアブルネイなど、島しょ部で広く信仰されています。
キリスト教 フィリピン(スペインの植民地だった影響)、東ティモール(ポルトガルの植民地だった影響)

 

このように、東南アジアはASEANという枠組みで協力しながらも、経済発展の裏にある課題や、国内の多様な文化をどうまとめていくかという、複雑でダイナミックな側面を持つ地域なのです。