アボリジニは、ヨーロッパ人が来る前からオーストラリア大陸に住んでいた先住民の人々です。
6万年以上も前からこの地で暮らしており、「世界最古の現存文化」とも言われています。
「アボリジニ」は単一の民族ではなく、かつては500以上の異なる言葉や文化を持つ部族の集まりでした。
18世紀後半にイギリス人が入植を始めると、アボリジニの生活は激変しました。
土地を奪われ、ヨーロッパ人が持ち込んだ病気によって多くの命が失われました。
また、20世紀後半まで、政府によって子どもたちが親から引き離され、白人社会に同化させられる「同化政策」が行なわれるなど、非常に厳しい時代を経験しました。
● ドリームタイム(The Dreaming):アボリジニの文化の根幹をなす、神話的な世界観です。
世界の創造、人々の生きる上でのルール、自然との関わり方など、すべてがこの物語の中にあります。
● 大地との強いつながり:彼らにとって土地は、単なる所有物ではなく、先祖から受け継いだ神聖な場所であり、自分たちのアイデンティティそのものです。
ウルル(エアーズロック)などの聖地を非常に大切にしています。
● 芸術:
▪ ドットペインティング(点描画):ドリームタイムの物語や、土地の地図などを、無数の点で描く独特の芸術です。
▪ ディジュリドゥ:ユーカリの木から作られる、独特の低い音を出す管楽器です。
現在では、アボリジニの権利や文化を尊重する動きが進んでいます。
1990年代には、先住民としての土地の権利(先住権)が法的に認められました。
しかし、教育や医療、雇用の面で他のオーストラリア国民との間にまだ格差があるなど、多くの課題も残されています。
マオリは、13世紀頃にポリネシアの島々からカヌーで航海してたどり着き、ニュージーランド(マオリ語でアオテアロア)に定住した先住民です。
1840年、マオリの首長たちとイギリスとの間で「ワイタンギ条約」が結ばれました。
しかし、この条約のマオリ語版と英語版で解釈が異なっていたため、土地の所有権などをめぐって激しい対立や戦争が起こりました。
アボリジニと同様、マオリも土地を奪われ、文化を否定される苦しい時代を経験しました。
● マラエ(Marae):部族の集会所であり、儀式や冠婚葬祭が行われる、マオリのコミュニティの中心となる神聖な場所です。
● 芸術:
▪ 彫刻:木や骨、石に、渦巻き模様などの複雑なデザインを施す彫刻は非常に有名です。
▪ タ・モコ(Ta Moko):顔や体に施される伝統的な刺青で、家系や地位を表す重要な意味を持ちます。
● ハカ(Haka):マオリの伝統的な踊りです。
歓迎や戦いの前の儀式などで踊られ、ニュージーランドのラグビー代表チーム「オールブラックス」が試合前に行うことで世界的に知られています。
● ニュージーランドでは、マオリの文化を国の重要な一部として尊重する「多文化主義」が非常に進んでいます。
● マオリ語は英語と並ぶ公用語に定められており、地名やテレビ放送など、社会の様々な場面で使われています。
● ワイタンギ条約に基づき、過去の不当な土地の没収に対する補償なども行なわれています。
社会におけるマオリの地位は、アボリジニに比べて比較的高いと言えます。
| アボリジニ(オーストラリア) | マオリ(ニュージーランド) | |
|---|---|---|
| 歴史 |
6万年以上前から居住。 土地の権利を主張する条約がなかった。 |
13世紀頃に移住。 ワイタンギ条約を締結。 |
| 精神世界 |
ドリームタイム。 大地との精神的なつながりを重視。 |
マラエがコミュニティの中心。 家系や血縁を重視。 |
| 代表的な文化 | ドットペインティング、ディジュリドゥ | 彫刻、タ・モコ(刺青)、ハカ |
| 現在の地位 | 権利回復が進むも、社会的な格差が依然として大きな課題。 | マオリ語が公用語。 社会における文化の尊重が進んでいる。 |
オセアニアの先住民の文化は、単に古い伝統として博物館に飾られているものではなく、今も人々の生活の中に息づいています。
彼らの歴史と文化を知ることは、オーストラリアとニュージーランドという国を理解するための、とても大切な鍵となるのです。