オーストラリアやニュージーランドで、広大な土地を使った牧畜が盛んに行われているのには、いくつかの理由があります。
特にオーストラリアには、人間が住むのに適さない広大な平原や荒野が広がっています。
国土の面積に比べて人口が少ないため、一人当たりの土地面積が非常に広く、大規模な経営が可能です。
● オーストラリア:国土の多くが乾燥しているため、米や野菜などの耕作には向いていません。
しかし、乾燥に強い草は生えるため、そうした草を食べる羊や牛の放牧には適しています。
● ニュージーランド:一年を通して温暖で雨が多く、緑の牧草地が広がるため、牧畜に非常に適した気候です。
オーストラリアの牧畜は、そのスケールの大きさから「企業的牧畜(きぎょうてきぼくちく)」と呼ばれます。
● 羊(ひつじ):主に内陸部のやや乾燥した地域で飼育されています。
羊毛の生産が非常に盛んで、世界有数の輸出国です。
● 牛(うし):主に北部や東部の比較的雨が多い地域で飼育されています。
牛肉(ビーフ)の生産が盛んで、日本も多く輸入しています。
● とにかく大規模:一つの牧場の面積が、日本の市や町よりも広いこともあります。
● 近代的な方法:広すぎるため、羊や牛の群れを追いかけるのにバイクやヘリコプターを使うこともあります。
オーストラリアの内陸部は非常に乾燥していますが、その地下には「グレートアーテジアン盆地」と呼ばれる世界最大級の地下水の層があります。
ここに「掘り抜き井戸(ほりぬきいど)」を掘ることで、地下水が自然に湧き出し、羊や牛の大切な飲み水となっています。
この井戸のおかげで、乾燥地帯でも牧畜が可能になっているのです。
ニュージーランドの牧畜は、オーストラリアとは少し特徴が異なります。
● 羊(ひつじ):「人口(約500万人)よりも羊の数(約2600万頭)の方が多い」と言われるほど、羊の飼育が盛んです。
羊毛だけでなく、羊肉(ラム、マトン)の輸出も多いのが特徴です。
● 牛(うし):緑の牧草が豊富なため、牛乳を搾るための乳牛の飼育が非常に盛んです。
これは「酪農(らくのう)」と呼ばれます。
生産された牛乳は、バターやチーズなどの乳製品に加工され、世界中に輸出されています。
広大な牧草地で一年中、牛や羊を放し飼いにする放牧が中心です。
日本の食生活は、オセアニアの牧畜と深く結びついています。
● スーパーマーケットでよく見かける「オージー・ビーフ」は、オーストラリア産の牛肉です。
● 私たちが着ているセーターなどの原料となる羊毛(ウール)の多くは、オーストラリアから輸入されています。
● パンに塗るバターや料理に使うチーズなどの乳製品も、ニュージーランドから多く輸入しています。
| 国 | 気候の特徴 | 主な家畜 | 主な生産品 | キーワード |
|---|---|---|---|---|
| オーストラリア | 乾燥した広大な土地 | 羊、牛(肉牛) | 羊毛、牛肉 | 企業的牧畜、掘り抜き井戸 |
| ニュージーランド | 温暖湿潤で緑が豊か | 羊、牛(乳牛) | 羊肉、乳製品 | 酪農(らくのう) |
このように、オセアニアの国々は、それぞれの自然環境を巧みに利用して、世界有数の牧畜国となっているのです。