西アジア・中央アジアの大部分は、一年を通して雨が非常に少ない「乾燥帯」に属しています。
見渡す限りの砂漠や、丈の短い草が生えるステップ(草原)が広がっています。
昼と夜の気温差が非常に大きいのが特徴です。
● オアシス農業:砂漠の中でも水が湧き出る「オアシス」では、ナツメヤシや小麦などを栽培してきました。
● 遊牧:ステップ(草原)地帯では、羊やヤギ、ラクダなどを飼育し、水や草を求めて移動しながら生活する遊牧が行なわれてきました。
● 生活の工夫:日干しレンガで作った家や、体を覆う風通しの良い民族衣装など、厳しい暑さや乾燥に対応した工夫が見られます。
近年、人口増加や産業の発展により、水不足が深刻な問題となっています。
そのため、海水を真水に変える海水淡水化プラントを建設したり、地下水をくみ上げたりして、生活用水や農業用水を確保しています。
この地域の経済、そして世界経済を語る上で欠かせないのが「石油」です。
特に、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、イラン、イラクなどが面するペルシャ湾岸には、世界の石油埋蔵量の約半分が集中しています。
これらの国々は、石油を輸出することで莫大な利益(オイルマネー)を得て、急速に国を発展させてきました。
産油国は、自分たちの利益を守るために「石油輸出国機構(OPEC)」という組織を結成しています。
OPECは、石油の生産量や価格を調整することで、世界経済に非常に大きな影響力を持っています。
● 経済発展(光):オイルマネーによって、砂漠の中にドバイのような近代的な大都市が建設され、道路や港などのインフラが整備されました。
また、医療や教育が無料になるなど、国民の生活水準も向上しました。
● 課題(影):
①石油に頼りすぎた経済:石油の価格が下がると、国の収入が大きく減ってしまうという弱点があります。
そのため、近年は石油だけに頼るのではなく、観光業や金融業など、新しい産業を育てる「脱石油」の動きが進んでいます。
②外国人労働者への依存:国の発展を支える労働力の多くを、インドや東南アジアなどからの外国人労働者に頼っているという実態があります。
残念ながら、この地域は「世界の火薬庫」とも呼ばれるほど、昔から紛争や対立が絶えません。
その背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。
パレスチナ問題:ユダヤ教徒の国イスラエルと、その周辺に住むイスラム教徒のパレスチナ人との間で、聖地エルサレムなどをめぐる長年の対立が続いています。
宗派の対立:同じイスラム教の中にも、多数派の「スンニ派(サウジアラビアなど)」と、少数派の「シーア派(イランなど)」があり、両者の対立が国同士の関係を緊張させています。
この地域には、アラブ人、ペルシャ人、トルコ人、クルド人など多くの民族が暮らしています。
特に、どの国にも属さない世界最大の少数民族といわれるクルド人の問題など、国境線と民族の居住エリアが一致していないことが対立の原因となることがあります。
豊富な石油資源の利権をめぐって、国内での対立や、周辺国との争いが起きることがあります(例:湾岸戦争)。
日本は、消費する石油のほとんどをこの西アジア地域からの輸入に頼っています。
そのため、この地域の平和と安定は、私たちの生活とも決して無関係ではないのです。