まず、日本のエネルギー事情を理解するための大前提は、日本が「資源小国(しげんしょうこく)」であるということです。
かつては石炭などが採れましたが、現在、私たちの生活や産業に不可欠な石油、石炭、天然ガスといった「化石燃料」は、国内ではほとんど採れません。
エネルギー自給率とは、国が必要とするエネルギーのうち、どれだけを自国内でまかなえるかを示す割合のことです。
日本のエネルギー自給率は、約13%(2021年度)しかありません。
これは、必要なエネルギーの約9割を海外からの輸入に頼っていることを意味します。
この数字は、アメリカ(約100%超)やイギリス(約70%)といった他の先進国と比べても、極端に低い水準です。
では、日本は具体的にどのようなエネルギー資源を、どの国々から輸入しているのでしょうか。
| 主なエネルギー資源 | 主な使いみち | 主な輸入相手国(上位) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 石油(原油) | ● 自動車のガソリン ● 火力発電 ● プラスチック製品の原料 |
①サウジアラビア ②アラブ首長国連邦(UAE) ③クウェート |
輸入の約9割以上を中東地域に頼っています。 |
| 石炭 | ● 火力発電 ● 鉄鉱石から鉄を作る時の燃料 |
①オーストラリア ②インドネシア |
オーストラリアからの輸入が圧倒的に多いです。 |
| 天然ガス | ● 火力発電 ● 都市ガス |
①オーストラリア ②マレーシア ③カタール |
船で運びやすいように、マイナス162℃に冷やして液体にした液化天然ガス(LNG)の形で輸入しています。 |
これらの資源は、巨大なタンカーなどの船で、中東やオーストラリアから「シーレーン」と呼ばれる海上交通路を通って、長い時間をかけて日本まで運ばれてきます。
エネルギーのほとんどを輸入に頼ることは、日本の社会にとって大きな弱点となり、いくつかの深刻な問題を引き起こします。
資源を産出する国で戦争が起きたり、世界経済が不安定になったりすると、石油などの価格が急激に上がることがあります。
そうなると、日本のガソリン代や電気料金も値上がりし、私たちの生活や企業の活動に大きな打撃を与えます。
(歴史の授業で習う、1970年代の「オイルショック」がその代表例です。)
特に石油の多くを頼っている中東は、政治的に不安定な地域です。
もし、この地域で大きな紛争が起こり、石油の輸出が止まってしまったら、日本の社会は麻痺してしまいます。
資源を運んでくるシーレーンの安全確保も、常に重要な課題です。
輸入している化石燃料を燃やすと、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO₂)が大量に排出されます。
世界全体で「脱炭素社会」を目指す中で、化石燃料に頼り続けることは難しくなっています。
この大きな課題を克服するため、日本は様々な取り組みを進めています。
太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスといった、再生可能エネルギー(使ってもなくならず、CO₂をほとんど出さないエネルギー)の割合を増やそうとしています。
原子力発電はCO₂を出しませんが、東日本大震災以降、安全性に対する懸念が大きく、その扱いについては国内で様々な議論があります。
使うエネルギーの量を減らすことが、最も直接的な解決策です。
LED照明の普及や、燃費の良い自動車の開発、断熱性の高い住宅の建設など、社会全体で省エネを進めています。
中東だけに頼るのではなく、他の地域からも資源を輸入するなどして、特定の国に依存するリスクを減らす努力をしています。
日本のエネルギーは、そのほとんどを海外からの化石燃料の輸入に依存しているという、非常に不安定な土台の上に成り立っています。
この弱点を克服し、安定的で環境にやさしいエネルギーをどう確保していくかは、日本の未来にとって最も重要な課題の一つなのです。