日本の人口分布の最大の特徴は、一言で言うと「非常に偏っている」ということです。
日本の人口の多くは、国土のわずか一部である平野部、特に太平洋ベルト地帯に集中しています。
東京、名古屋、大阪の三大都市圏(三大都市圏)を含む、関東地方から九州地方北部にかけての、太平洋沿岸の工業地帯のことです。
この地域に、日本の人口の約半分、そして工業生産額の約半分が集中しています。
● 地形:広くて平坦な土地(平野)が多く、工場や住宅、交通網(道路や鉄道)を作りやすい。
● 気候:冬でも雪が少なく温暖で、比較的過ごしやすい。
● 交通:大きな港が多く、外国との貿易や、原材料・製品の輸送に便利。
● 歴史:江戸時代から、江戸(東京)、大坂(大阪)といった大都市が発展していた。
このような、特定の地域に人口が極端に集中する現象は、人が集まりすぎている地域と、人がいなくなりすぎている地域の両方で、深刻な社会問題を引き起こします。
人口が集中する三大都市圏などの大都市部では、「過密」による様々な問題が起こっています。
● たくさんの人が住みたがるため、土地の値段(地価)が非常に高くなります。
● 都心に家を持つのが難しくなり、多くの人が郊外のベッドタウンから、満員電車で長時間かけて通勤・通学せざるを得なくなります。(通勤・通学ラッシュ)
自動車の数が多すぎて、道路が慢性的に渋滞します。
人口が多い分、排出されるゴミの量も膨大になり、その処理が大きな課題となります。
働きたい親が増える一方で、保育園の数が足りず、子どもを預けられないという問題も深刻です。
一方で、人口が流出してしまった地方の農村部や山間部、離島などでは、「過疎」による問題が深刻化しています。
高校を卒業した若者たちが、進学や就職のために都市部へ出て行ってしまい、地元に戻ってきません。
その結果、地域に残るのは高齢者ばかりになり、高齢化率が非常に高くなります。(65歳以上の人口が50%を超える集落を「限界集落」と呼ぶこともあります。)
働き手が不足し、農業や漁業、林業といった地域の基幹産業の担い手がいなくなります。
後継者不足で、伝統的な祭りや文化の継承が難しくなります。
スーパーや病院、ガソリンスタンドなどが採算が合わずに閉店し、生活がどんどん不便になります。(買い物難民など)
バスや鉄道などの公共交通機関も、利用者が減って廃止されてしまいます。
農業の担い手がいなくなり、手入れされずに荒れ果てた田畑(耕作放棄地)が増え、国土の荒廃につながります。
このような「過密・過疎」問題を解決するため、国や地方自治体は、都市部から地方への人の流れ(人の還流)を促す様々な取り組みを行なっています。
● Uターン:地方出身者が、進学や就職で一度は都市部に出た後、再び生まれ故郷に戻って就職・生活すること。
● Iターン:都市部出身者が、地方に移住して就職・生活すること。
● Jターン:地方出身者が、都市部に出た後、生まれ故郷とは違うが、故郷に近い地方都市に移り住むこと。
最近では、テレワークの普及などにより、地方での暮らしに関心を持つ人が増えており、こうした新しい人の流れが少しずつ生まれています。
日本の人口分布は、太平洋ベルト地帯への一極集中という大きな特徴を持っています。
この偏りは、都市部での「過密」問題と、地方での「過疎」問題という、日本の社会が抱える二つの大きな課題を生み出しています。
この両者の問題は、表裏一体の関係にあるのです。