この時代の日本の貿易を一言で表すキーワードは「加工貿易(かこうぼうえき)」です。
資源に乏しい日本が、海外から原料や燃料を輸入し、それらを国内の工場で優れた技術を使って製品に加工し、付加価値(もうけ)を上乗せして海外に輸出する貿易の形です。
輸出も輸入も、アメリカが圧倒的な第1位でした。
日本にとってアメリカは、最大の「お客様」であり、資源を売ってくれる重要なパートナーでした。
自動車、鉄鋼、船、そしてテレビやビデオデッキといった家電製品など、日本の高い技術力を示す工業製品が中心でした。
原油(中東から)、鉄鉱石・石炭(オーストラリアから)、木材などを大量に輸入していました。
日本からアメリカへの自動車などの輸出が急増したため、アメリカ国内の産業が打撃を受け、「日本は不公平だ」という批判が高まりました。
これを貿易摩擦と呼びます。
グローバル化が進み、特にアジア諸国の経済発展によって、日本の貿易の形は大きく変化しました。
輸出・輸入ともに、中国がアメリカを抜いて第1位になりました。
韓国、台湾、ASEAN(東南アジア諸国連合)といったアジアの国々との貿易額が、全体の半分以上を占めるようになっています。
もちろん自動車は今でも最大の輸出品です。
しかし、かつての家電製品そのものに代わり、スマートフォンやデジタルカメラの中に入っている電子部品やIC(集積回路)、半導体といった、高い技術が必要な部品や素材の輸出が非常に増えました。
これは、アジアの工場(特に中国)で製品を組み立てる際の、心臓部となる重要なパーツを日本が供給するという「国際分業」の形が進んだことを示しています。
原油や液化天然ガス(LNG)、鉄鉱石といった原料・燃料の輸入は今でも変わりません。
それに加えて、スマートフォンやパソコン、私たちが着ている衣類、家電製品といった工業製品の輸入が激増しました。
これらは、日本の企業が海外(主に中国や東南アジア)に作った工場で生産され、日本に逆輸入されているものが多く含まれます。
また、食料自給率の低さを背景に、魚介類や肉類、野菜、果物といった食料品の輸入も多くなっています。
| 昔(高度経済成長期など) | 現在 | |
|---|---|---|
| キーワード | 加工貿易 | 国際分業 |
| 貿易相手国 (第1位) |
アメリカ | 中国 |
| 主な輸出品 |
自動車、鉄鋼、船、家電製品 (完成品が中心) |
自動車、電子部品、IC(半導体) (高機能な部品・素材が中心) |
| 主な輸入品 |
原油、鉄鉱石、石炭、木材 (原料・燃料が中心) |
原油、液化天然ガス、衣類、スマートフォン、食料品 (原料に加え、多くの完成品を輸入) |
| 貿易の形 | 原料を輸入し、国内で製品を作り、完成品を輸出する。 | 高機能な部品を輸出し、海外で組み立てられた製品を輸入するなど、複雑化。 |
このように、日本の貿易は、かつての「加工貿易」から、アジア諸国との間で部品や製品を行き来させる、より複雑な「国際分業」の形へと大きく変化したのです。
この変化の背景には、日本の工場の海外移転や、中国をはじめとするアジア諸国の経済的な発展があります。