日本の貿易

 

 

1. 昔の日本の貿易(高度経済成長期~1980年代頃)

この時代の日本の貿易を一言で表すキーワードは「加工貿易(かこうぼうえき)」です。

 

加工貿易とは?

資源に乏しい日本が、海外から原料燃料輸入し、それらを国内の工場で優れた技術を使って製品に加工し、付加価値(もうけ)を上乗せして海外に輸出する貿易の形です。

 

【昔の貿易の特徴】

主な貿易相手国:アメリカ合衆国

輸出も輸入も、アメリカが圧倒的な第1位でした。

日本にとってアメリカは、最大の「お客様」であり、資源を売ってくれる重要なパートナーでした。

主な輸出品:重くて大きい「メイド・イン・ジャパン」の製品

自動車鉄鋼、そしてテレビやビデオデッキといった家電製品など、日本の高い技術力を示す工業製品が中心でした。

主な輸入品:製品を作るための「原料」と「燃料」

原油(中東から)、鉄鉱石・石炭(オーストラリアから)、木材などを大量に輸入していました。

当時の課題:「貿易摩擦(ぼうえきまさつ)」

日本からアメリカへの自動車などの輸出が急増したため、アメリカ国内の産業が打撃を受け、「日本は不公平だ」という批判が高まりました。
これを貿易摩擦と呼びます。

 

2. 現在の日本の貿易(2000年代~今日)

グローバル化が進み、特にアジア諸国の経済発展によって、日本の貿易の形は大きく変化しました。

 

【現在の貿易の特徴】

主な貿易相手国:中国とアジア諸国

輸出・輸入ともに、中国がアメリカを抜いて第1位になりました。

韓国、台湾、ASEAN(東南アジア諸国連合)といったアジアの国々との貿易額が、全体の半分以上を占めるようになっています。

主な輸出品:小さくて高価な「部品」や「素材」

もちろん自動車は今でも最大の輸出品です。

しかし、かつての家電製品そのものに代わり、スマートフォンやデジタルカメラの中に入っている電子部品IC(集積回路)半導体といった、高い技術が必要な部品素材の輸出が非常に増えました。

これは、アジアの工場(特に中国)で製品を組み立てる際の、心臓部となる重要なパーツを日本が供給するという「国際分業」の形が進んだことを示しています。

主な輸入品:私たちの身の回りにある「完成品」と「食料品」

原油液化天然ガス(LNG)鉄鉱石といった原料・燃料の輸入は今でも変わりません。

それに加えて、スマートフォンパソコン、私たちが着ている衣類、家電製品といった工業製品の輸入が激増しました。

これらは、日本の企業が海外(主に中国や東南アジア)に作った工場で生産され、日本に逆輸入されているものが多く含まれます。

また、食料自給率の低さを背景に、魚介類や肉類、野菜、果物といった食料品の輸入も多くなっています。

 

まとめ:貿易の変化が一目でわかる比較表

日本の貿易構造の変化:加工貿易から国際分業へ
昔(高度経済成長期など) 現在
キーワード 加工貿易 国際分業
貿易相手国
(第1位)
アメリカ 中国
主な輸出品 自動車鉄鋼家電製品
(完成品が中心)
自動車電子部品IC(半導体)
(高機能な部品・素材が中心)
主な輸入品 原油鉄鉱石石炭、木材
(原料・燃料が中心)
原油液化天然ガス衣類スマートフォン食料品
(原料に加え、多くの完成品を輸入)
貿易の形 原料を輸入し、国内で製品を作り、完成品を輸出する。 高機能な部品を輸出し、海外で組み立てられた製品を輸入するなど、複雑化。

 

このように、日本の貿易は、かつての「加工貿易」から、アジア諸国との間で部品や製品を行き来させる、より複雑な「国際分業」の形へと大きく変化したのです。

この変化の背景には、日本の工場の海外移転や、中国をはじめとするアジア諸国の経済的な発展があります。