南アメリカ大陸は、そのダイナミックな地形を背景に、多種多様な鉱産資源が豊富に眠る「資源の大陸」です。
南アメリカの資源の豊富さは、大陸の地形の成り立ちと深く関係しています。
環太平洋造山帯の一部であるアンデス山脈は、地球のプレートがぶつかり合ってできた、比較的新しい山脈です。
このような場所では、マグマの活動が活発だったため、銅や銀、スズ、そして近年注目されるレアメタル(希少金属)などが多く産出されます。
大陸の東側に広がるブラジル高原などは、何億年も前にできた安定した古い陸地(安定陸塊)です。
長い時間をかけて風化が進んだこの地域には、鉄鉱石やボーキサイト(アルミニウムの原料)などが豊富に埋まっています。
このように、大陸の西と東で地形のタイプが異なるため、採れる資源の種類も異なっているのが大きな特徴です。
特に重要な2つの資源と、それらを産出する国を見ていきましょう。
● 世界一の生産・輸出国:チリは、世界の銅の生産量・輸出量ともに世界第1位を誇ります。
● 主な鉱山:アンデス山脈の中にあるチュキカマタ銅山などは、世界最大級の露天掘り(ろてんぼり)鉱山として有名です。
● 用途:銅は電気をよく通すため、電線や電気製品の部品などに使われ、私たちの生活に欠かせない金属です。
● 世界トップクラスの生産・輸出国:ブラジルは、オーストラリアと並んで、鉄鉱石の生産・輸出量が世界トップクラスです。
● 主な鉱山:アマゾン川流域にあるカラジャス鉄山は、世界最大級の鉄鉱山で、非常に質の高い鉄鉱石が採れます。
● 用途:鉄鉱石は、鉄鋼(鉄や鋼)を作るための主原料です。
自動車やビル、鉄道のレールなど、社会のあらゆる場面で使われています。
● 石油:ベネズエラ
● レアメタル(リチウム):ボリビア、アルゼンチン、チリにまたがる地域(「リチウム・トライアングル」と呼ばれる)は、スマートフォンや電気自動車のバッテリーに必要なリチウムの埋蔵量が豊富です。
● 銀:ペルー、メキシコ
● ボーキサイト:ブラジル、スリナム
豊富な資源は、国に大きな利益をもたらす「光(祝福)」の側面と、多くの問題を引き起こす「影(呪い)」の側面を持っています。
● 国の経済を支える:資源を輸出することで、国は外貨(ドルなど)を稼ぐことができます。
このお金は、国の発展のために使われます。
● モノカルチャー経済への依存:特定の鉱産資源の輸出に頼りすぎる「モノカルチャー経済」に陥りがちです。
資源の国際価格が下がると、国の経済全体が大きな打撃を受けてしまうという不安定さを抱えています。
● 環境破壊:大規模な鉱山開発は、森林伐採や土壌汚染、水質汚染といった深刻な環境問題を引き起こすことがあります。
● 経済格差:資源から得られる富が、外国の企業や一部の富裕層に集中し、国民全体、特に鉱山で働く労働者に十分に還元されないという格差問題も深刻です。
資源の多くを輸入に頼る日本にとって、南アメリカは非常に重要なパートナーです。
日本は、チリから銅を、ブラジルから鉄鉱石を大量に輸入しています。
私たちが毎日使うスマートフォンや家電製品、乗っている自動車や電車は、遠い南アメリカ大陸から運ばれてきた資源によって作られているのです。
南アメリカの鉱産資源は、その国の経済を支える重要な柱であると同時に、モノカルチャー経済や環境問題といった課題も抱えています。
そして、それらの資源は、海を越えて私たちの生活を支える、非常に身近な存在でもあるのです。