アメリカ合衆国とカナダは、歴史的に世界中から多くの人々を受け入れて発展してきた国です。
そのため「移民の国」と呼ばれます。
17世紀以降、イギリスやフランスなどヨーロッパの国々から多くの人々が新天地を求めて移住してきました。
植民地時代、南部の綿花プランテーションなどで働く労働力として、多くのアフリカの人々が奴隷として強制的に連れてこられました。
19世紀後半以降は、アジア(中国、日本など)から、そして近年はメキシコなどの中南米(ラテンアメリカ)やアジア諸国から、より良い仕事や生活を求めて多くの人々が移住しています。
このように、様々な時代に、様々な理由で、世界中の人々が北アメリカに集まってきたのです。
現在の北アメリカは、多様な人種・民族(エスニックグループ)で構成されています。
● ヨーロッパ系(白人):イギリス、ドイツ、アイルランド系など。歴史的に最も多数派を占めてきました。
● ヒスパニック:メキシコやプエルトリコなど、中南米からの移民とその子孫。スペイン語を話す人が多く、現在ではアフリカ系を上回り、最大のマイノリティ(少数派)となっています。
● アフリカ系(黒人):奴隷として連れてこられた人々の末裔。公民権運動などを通じて、その権利を主張してきました。
● アジア系:中国、インド、フィリピン、ベトナム、韓国など。近年、特にIT産業などで活躍する人が増えています。
● 先住民(ネイティブ・アメリカン):もともとこの大陸に住んでいた人々です。
イギリス系とフランス系が中心で、英語とフランス語が公用語です。
特にケベック州はフランス語圏として独自の文化を持っています。
近年はアジアからの移民を積極的に受け入れており、バンクーバーなどの都市ではアジア系の人口が非常に多くなっています。
多様な人々が共に暮らす社会には、良い面(光)と課題となる面(影)の両方があります。
● 豊かな文化の創造:音楽(ジャズ、ロック、ヒップホップ)、映画(ハリウッド)、食事(ハンバーガー、メキシコ料理、中華料理、寿司)など、世界の様々な文化が混ざり合い、新しいアメリカ・カナダ独自の文化が生まれています。
● 経済の発展:移民は労働力として経済を支えるだけでなく、新しいビジネスを始める(起業する)人も多く、社会の活力の源となっています。
シリコンバレーのIT企業でも、多くの移民が活躍しています。
● 人種差別問題:歴史的な背景から、白人と他の人種・民族との間には、今なお根深い差別意識が残っています。
● 経済格差:人種や民族によって、平均所得や教育を受けられる機会に差が生じています。
● 文化や言語の違いによる摩擦:宗教や生活習慣の違いから、コミュニティ間で対立が起こることもあります。
多文化社会のあり方を示す言葉として、以下の二つがよく使われます。
様々な民族の文化が溶鉱炉(るつぼ)の中で溶け合って、一つの新しい「アメリカ文化」になるという考え方。
しかし、これは主にヨーロッパ系白人の文化に他の文化が同化することを意味しており、少数派の文化が失われるという批判がありました。
現在の主流の考え方。
サラダに入っているトマトやレタス、きゅうりがそれぞれの味や形を保ちながら、全体として美味しい一つのサラダになるように、それぞれの民族が持つ独自の文化や言語を尊重し、共存していこうという考え方です。
カナダでは、これを国の政策として「多文化主義(モザイク社会)」を掲げています。
北アメリカは、世界中からの移民によって築かれた「多文化社会」です。
その多様性は、新しい文化や経済の活力を生み出す源である一方で、差別や格差といった深刻な社会問題も抱えています。
それぞれの文化や個性を尊重し、誰もが平等に暮らせる社会をどう築いていくかが、この地域の大きなテーマであり続けているのです。