北アメリカの農業

 

 

1. 「適地適作」とは?

適地適作(てきちてきさく)」とは、その土地の気候や土壌、地形といった自然条件に最も適した農作物を選んで、集中的に生産することです。

アメリカやカナダは国土が非常に広いため、場所によって気候が大きく異なります。寒い地域、暖かい地域、雨が多い地域、乾燥した地域など様々です。それぞれの場所に最適な作物を作ることで、効率よく、たくさんの収穫をあげることができるのです。

 

2. なぜ「大規模」にできるのか?

アメリカの農業が「大規模」であるのには、いくつかの理由があります。

①広大な平原

ロッキー山脈とアパラチア山脈の間には、グレートプレーンズプレーリーといった、どこまでも続くような広大で平坦な土地が広がっています。

②大型機械の使用

この広い土地で、トラクターやコンバインといった巨大な農業機械を効率よく使うことができます。
種まきや農薬散布に飛行機を使うこともあります。

③企業的な経営

少ない人手で効率的に利益を上げるため、企業のような考え方で農業が経営されています。

 

3. 具体的な「適地適作」の地域分け

アメリカの農業は、作物の種類ごとに、まるでベルトのように地帯が分かれています。

地図と一緒に見ると非常に分かりやすいです。

アメリカ合衆国の農業地帯と適地適作の特徴
農業地帯名 場所 気候・土地の特徴 主な生産物 特徴
小麦地帯 グレートプレーンズ やや乾燥した平原地帯 小麦 北部の春に種をまく「春小麦」地帯と、南部の秋にまく「冬小麦」地帯に分かれます。
とうもろこし地帯
(コーンベルト)
プレーリー
(中央平原)
温暖で比較的雨が多い肥沃な土地 とうもろこし、大豆 作物栽培と家畜の飼育を組み合わせた混合農業が中心。
とうもろこしは牛や豚の飼料になります。
酪農地帯 五大湖周辺 冷涼な気候。大都市に近い。 牛乳、チーズ、バターなど 涼しくて牧草が育ちやすく、新鮮な乳製品を大都市に供給するのに便利です。
綿花地帯 南部 温暖で湿潤な気候 綿花 かつてはアフリカ系の奴隷労働に支えられていました。
近年は他の作物の栽培も増えています。
放牧(牧畜) 西部の乾燥地帯 乾燥していて、穀物栽培には不向き 牛(肉牛) 広大な土地で牛を放し飼いにしています。
地中海式農業 カリフォルニア州 夏に乾燥し、冬に雨が降る オレンジ、ぶどう、野菜 温暖な気候を活かした果物や野菜の栽培が盛んです。

 

このように、それぞれの土地の個性を最大限に活かして、得意なものを集中して作るのがアメリカの農業の大きな特徴です。

 

4. 「アグリビジネス」とのつながり

アメリカの農業を語る上で欠かせないのが「アグリビジネス」という言葉です。

これは、単に農作物を作って売るだけでなく、

● 種子や肥料、農薬の開発・販売

● 農産物の加工(とうもろこしをコーンフレークに、小麦をパンに)

● 食品の流通や販売

といった、農業に関わる全てのビジネスを指します。

カーギルなどの「穀物メジャー」と呼ばれる巨大企業が、世界の食料の生産から販売までを支配しており、世界の食料価格にも大きな影響を与えています。

 

まとめ

北アメリカの農業は、

広大な土地と多様な気候を活かした「適地適作

大型機械を使った効率的な「大規模経営

● 生産から販売までを企業が担う「アグリビジネス

という3つのキーワードで特徴づけられます。

この仕組みによって、アメリカは自国の食料をまかなうだけでなく、日本を含む世界中に多くの農産物を輸出する、世界一の農業大国となっているのです。