まず、多国籍企業(たこくせききぎょう)という言葉を理解しましょう。
本社は一つの国に置きながら、国境を越えて、世界中の様々な国で生産、販売、開発などの活動を行う巨大な企業のことです。
企業が最も利益を上げられるように、世界の「適材適所」を利用します。
● 例1:本社や開発拠点は、優秀な人材が集まるアメリカに置く。
● 例2:部品を作る工場は、人件費(働く人のお給料)が安いアジアの国々に置く。
● 例3:製品を売るお店は、人口が多くてたくさん買ってくれるヨーロッパや日本、中国などに置く。
● GAFA:Google, Apple, Meta(Facebook), Amazon(いずれもアメリカの企業)
● その他:マクドナルド、コカ・コーラ、ナイキなど
これらの企業は、世界経済に非常に大きな影響力を持っています。
多国籍企業が活躍する舞台であるアメリカの工業地域は、時代と共に大きく変化してきました。
場所:五大湖周辺(デトロイト、ピッツバーグなど)。
特徴:アパラチア山脈の石炭とメサビ鉄山の鉄鉱石という豊富な資源、そして五大湖の水運を利用して、鉄鋼業や自動車産業が栄えました。
「ラスト(rust)」とは「さび」のことで、工場がさびれてしまった工業地帯という意味です。
なぜ衰退した?:日本やヨーロッパの安くて性能の良い自動車に押されたり、工場の海外移転が進んだりしたためです。
場所:北緯37度より南の、温暖な気候の地域(カリフォルニア州、テキサス州など)。
特徴:1970年代以降、航空宇宙産業や電子工業(エレクトロニクス)、IT(情報技術)産業といった最先端の技術(ハイテク産業)が集まるようになりました。
なぜ発展した?:温暖な気候、広い土地、安い労働力、税金の優遇措置などがあったためです。
サンベルトの中でも、特に世界的に有名なのがシリコンバレーです。
場所:カリフォルニア州サンフランシスコ郊外。
名前の由来:コンピュータの心臓部である半導体(ICチップ)の材料となる「シリコン」から来ています。
● 大学と研究機関:スタンフォード大学など、世界的に有名な大学があり、優秀な研究者や学生が集まっています。
大学の研究成果が、新しい企業の誕生につながりました。
● 豊富な資金:新しいアイデアを持つベンチャー企業(新しいビジネスを始める会社)に投資する「ベンチャーキャピタル」が豊富にあります。
● 情報と人材の集積:IT関連の企業が集中しているため、最新の情報を交換したり、優秀な技術者を見つけたりするのが容易です。
企業同士が競争し、協力し合うことで、さらに新しい技術が生まれるという好循環が生まれています。
Apple, Google, Meta(Facebook), Intel など、世界を動かす巨大な多国籍企業がここから生まれました。
ワシントン州。
マイクロソフト(ソフトウェア)やアマゾン(インターネット通販)の本社があります。
また、ボーイング(航空機)の工場もあり、航空宇宙産業も盛んです。
かつての自動車産業の中心地デトロイトも、近年は電気自動車(EV)や自動運転技術など、新しい自動車技術の開発拠点として復活を目指しています。
多国籍企業は、利益を最大化するために世界中で活動する巨大企業です。
アメリカの工業の中心は、鉄鋼や自動車の「ラストベルト」から、IT産業などの「サンベルト」へと移り変わりました。
そのサンベルトの代表格が「シリコンバレー」で、大学、資金、人材が集まることで、世界的なIT企業が次々と生まれる最先端技術の中心地となっています。
このように、アメリカの工業は、特定の地域に特定の産業が集まることで、世界的な競争力を生み出しているのです。