純粋な水は電気を通しませんが、食塩を溶かすとなぜか電気が流れるようになります。
一方で、砂糖を溶かしても電気は流れません。
この不思議な現象のカギを握っているのが、目に見えない電気を帯びた粒子「イオン」です。
ここでは、物質が水に溶けたときの性質の違いと、イオンがどのようにして生まれるのか、その基本的な仕組みを詳しく解説します。
水に溶ける物質は、その水溶液が電気を通すかどうかによって、2つのグループに分けることができます。
水に溶かすと電流が流れる物質のことです。
● なぜ電気が流れるの?:水に溶けると、後で説明するイオンという電気を帯びた粒子に分かれるためです。
このイオンが水溶液中を移動することで、電気が運ばれます。
● 代表例:
○ 塩化ナトリウム(食塩)
○ 塩化銅
○ 塩酸
○ 水酸化ナトリウム
水に溶かしても電流が流れない物質のことです。
● なぜ電気が流れないの?:水に溶けてもイオンに分かれず、電気を帯びていない分子のまま水中に存在するためです。
● 代表例:
○ 砂糖(ショ糖)
○ エタノール
○ デンプン
非電解質は種類が少ないので、「砂糖、エタノール、デンプン」をまず覚えてしまいましょう。
それ以外の多くは電解質だと判断できます。
| 電解質 | 非電解質 | |
|---|---|---|
| 水に溶かしたとき | 電流が流れる | 電流が流れない |
| 水中での状態 | イオンに分かれている | 分子のまま |
| 例 | 食塩、塩酸、塩化銅 | 砂糖、エタノール、デンプン |
イオンとは、原子が電気を帯びた粒子のことです。
通常、原子は電気的に「中性」ですが、あるきっかけで電気を帯びることがあります。
原子の中心には、プラス(+)の電気を持つ陽子と、電気を持たない中性子からなる原子核があります。
その周りを、マイナス(ー)の電気を持つ電子が飛び回っています。
一つの原子の中では、陽子(+)の数と電子(ー)の数が同じです。
そのため、プラスとマイナスの電気が打ち消し合い、原子全体としては電気を帯びていないのです。
原子がイオンになるのは、原子が電子(ー)を失ったり、受け取ったりするときです。
移動するのは常に身軽な電子だけで、中心にある重い陽子は移動しません。
電子のやりとりの仕方によって、イオンは2種類に分けられます。
● 成り立ち:原子が持っている電子(ー)を失うことで生まれます。
● なぜプラスに?:マイナスの電気を持つ電子が減るため、相対的にプラスの電気を持つ陽子の影響が強くなり、原子全体としてプラス(+)の電気を帯びることになります。
● 例:ナトリウムイオン (Na⁺)
ナトリウム原子(Na)は、電子を1つ失いやすい性質があります。
電子を1つ失うと、陽子が1つ分多くなるため、プラスの電気が1つ強くなります。
これをイオン式で Na⁺ と表します。
● その他の陽イオン:水素イオン(H⁺)、銅イオン(Cu²⁺)、マグネシウムイオン(Mg²⁺)など。
● 成り立ち:原子が他の原子から電子(ー)を受け取ることで生まれます。
● なぜマイナスに?:マイナスの電気を持つ電子が増えるため、原子全体としてマイナス(ー)の電気を帯びることになります。
● 例:塩化物イオン (Cl⁻)
塩素原子(Cl)は、電子を1つ受け取りやすい性質があります。
電子を1つ受け取ると、電子が1つ分多くなるため、マイナスの電気が1つ強くなります。
これをイオン式で Cl⁻ と表します。
● その他の陰イオン:水酸化物イオン(OH⁻)、硫酸イオン(SO₄²⁻)など。
| イオンの種類 | 電子の動き | 全体の電気 | イオン式の例 |
|---|---|---|---|
| 陽イオン | 電子を失う | プラス (+) | Na⁺, H⁺, Cu²⁺ |
| 陰イオン | 電子を受け取る | マイナス (ー) | Cl⁻, OH⁻, SO₄²⁻ |
このように、電解質が水に溶けると、陽イオンと陰イオンに分かれます(この現象を電離といいます)。
このイオンたちが電気の運び屋となって、水溶液に電流を流すのです。