水溶液とイオン

 

 

化学の世界の新常識!水溶液とイオンの謎を解く

純粋な水は電気を通しませんが、食塩を溶かすとなぜか電気が流れるようになります。

一方で、砂糖を溶かしても電気は流れません。

この不思議な現象のカギを握っているのが、目に見えない電気を帯びた粒子「イオン」です。

ここでは、物質が水に溶けたときの性質の違いと、イオンがどのようにして生まれるのか、その基本的な仕組みを詳しく解説します。

 

1. 電解質と非電解質 ~水に溶けて電気を流す?流さない?~

水に溶ける物質は、その水溶液が電気を通すかどうかによって、2つのグループに分けることができます。

電解質(でんかいしつ)

水に溶かすと電流が流れる物質のことです。

なぜ電気が流れるの?:水に溶けると、後で説明するイオンという電気を帯びた粒子に分かれるためです。

このイオンが水溶液中を移動することで、電気が運ばれます。

代表例:

○ 塩化ナトリウム(食塩)

○ 塩化銅

○ 塩酸

○ 水酸化ナトリウム

非電解質(ひでんかいしつ)

水に溶かしても電流が流れない物質のことです。

なぜ電気が流れないの?:水に溶けてもイオンに分かれず、電気を帯びていない分子のまま水中に存在するためです。

代表例:

○ 砂糖(ショ糖)

○ エタノール

○ デンプン

【覚え方のポイント】

非電解質は種類が少ないので、「砂糖、エタノール、デンプン」をまず覚えてしまいましょう。

それ以外の多くは電解質だと判断できます。

電解質と非電解質の比較
  電解質 非電解質
水に溶かしたとき 電流が流れる 電流が流れない
水中での状態 イオンに分かれている 分子のまま
食塩、塩酸、塩化銅 砂糖、エタノール、デンプン

 

2. イオンの正体 ~原子が電気を帯びた姿~

イオンとは、原子が電気を帯びた粒子のことです。

通常、原子は電気的に「中性」ですが、あるきっかけで電気を帯びることがあります。

原子はなぜ中性なの?

原子の中心には、プラス(+)の電気を持つ陽子と、電気を持たない中性子からなる原子核があります。

その周りを、マイナス(ー)の電気を持つ電子が飛び回っています。

一つの原子の中では、陽子(+)の数と電子(ー)の数が同じです。

そのため、プラスとマイナスの電気が打ち消し合い、原子全体としては電気を帯びていないのです。

イオンが生まれる瞬間は「電子」の移動!

原子がイオンになるのは、原子が電子(ー)を失ったり、受け取ったりするときです。

移動するのは常に身軽な電子だけで、中心にある重い陽子は移動しません。

 

3. イオンの成り立ち:陽イオンと陰イオン

電子のやりとりの仕方によって、イオンは2種類に分けられます。

① 陽イオン ~電子を失ってプラスになったイオン~

成り立ち:原子が持っている電子(ー)を失うことで生まれます。

なぜプラスに?:マイナスの電気を持つ電子が減るため、相対的にプラスの電気を持つ陽子の影響が強くなり、原子全体としてプラス(+)の電気を帯びることになります。

例:ナトリウムイオン (Na⁺)

ナトリウム原子(Na)は、電子を1つ失いやすい性質があります。

電子を1つ失うと、陽子が1つ分多くなるため、プラスの電気が1つ強くなります。

これをイオン式で Na⁺ と表します。

その他の陽イオン:水素イオン(H⁺)、銅イオン(Cu²⁺)、マグネシウムイオン(Mg²⁺)など。

② 陰イオン ~電子を受け取ってマイナスになったイオン~

成り立ち:原子が他の原子から電子(ー)を受け取ることで生まれます。

なぜマイナスに?:マイナスの電気を持つ電子が増えるため、原子全体としてマイナス(ー)の電気を帯びることになります。

例:塩化物イオン (Cl⁻)

塩素原子(Cl)は、電子を1つ受け取りやすい性質があります。

電子を1つ受け取ると、電子が1つ分多くなるため、マイナスの電気が1つ強くなります。

これをイオン式で Cl⁻ と表します。

その他の陰イオン:水酸化物イオン(OH⁻)、硫酸イオン(SO₄²⁻)など。

陽イオンと陰イオンの比較
イオンの種類 電子の動き 全体の電気 イオン式の例
陽イオン 電子を失う プラス (+) Na⁺, H⁺, Cu²⁺
陰イオン 電子を受け取る マイナス (ー) Cl⁻, OH⁻, SO₄²⁻

 

このように、電解質が水に溶けると、陽イオンと陰イオンに分かれます(この現象を電離といいます)。

このイオンたちが電気の運び屋となって、水溶液に電流を流すのです。