消化と吸収

 

 

食べ物のゆくえを追え!消化と吸収のしくみ

私たちが毎日食べているご飯やおかずは、そのままでは体に取り込むことができません。

体の中で栄養として使えるように、細かく分解していく必要があります。

この重要な働きを担っているのが「消化酵素」です。

ここでは、消化酵素がどのように食べ物を分解し(消化)、それがどうやって体に取り込まれるのか(吸収)について、詳しく解説します。

 

1. 「消化」とは? なぜ必要?

消化とは、食べ物に含まれる栄養素のうち、体内に吸収できないほど大きな粒を、吸収できる小さな粒に分解する過程のことです。

ご飯に含まれるデンプンや、肉・魚に含まれるタンパク質、油に含まれる脂肪などは、分子が大きすぎて、そのままでは腸の壁を通り抜けることができません。

そこで、これらを最小単位まで分解する必要があるのです。

デンプン → ブドウ糖

タンパク質 → アミノ酸

脂肪 → 脂肪酸 と モノグリセリド

この分解作業を行う、ハサミのような役割をする物質が消化酵素です。

 

2. 消化酵素の重要な特徴

消化酵素には、知っておくべき2つの重要なルールがあります。

特定の栄養素にしか働かない: 消化酵素にはたくさんの種類があり、それぞれが担当する栄養素を決めています。

例えば、デンプンを分解する酵素は、タンパク質や脂肪を分解することはできません。

体温に近い温度で最もよく働く: 消化酵素は、私たちの体温である35℃~40℃くらいで最も活発に働きます。

 

3. 消化の旅:口から小腸まで

食べ物は、消化管(口→食道→胃→小腸→大腸)を通る間に、様々な消化酵素の働きによって分解されていきます。

① 口

消化液: 唾液(だえき)

消化酵素: アミラーゼ

働き: 唾液に含まれるアミラーゼが、デンプンを麦芽糖(ばくがとう)という、少し小さい糖に分解します。

(ご飯をよく噛むと甘く感じるのはこのためです。)

② 胃

消化液: 胃液(いえき)

消化酵素: ペプシン

働き: 胃液に含まれるペプシンが、タンパク質を分解し始めます。

ポイント: 胃液には塩酸という強い酸が含まれており、食べ物を殺菌するとともに、ペプシンが働きやすい環境を作っています。

③ 小腸

消化と吸収のメインステージです。

ここでは、3種類の液体が働きます。

1. すい液

場所: すい臓で作られ、小腸に送られます。

消化酵素:

アミラーゼ: デンプンを分解。

トリプシン: タンパク質を分解。

リパーゼ: 脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解。

特徴: 三大栄養素(デンプン、タンパク質、脂肪)すべてを分解する、最も強力な消化液です。

2. 胆汁(たんじゅう)

場所: 肝臓で作られ、胆のうにたくわえられた後、小腸に送られます。

消化酵素: 含まない

働き: 消化酵素ではありませんが、脂肪を小さな粒にして、リパーゼが働きやすくするという重要な助っ人役を果たします。

3. 小腸の壁の消化酵素

場所: 小腸の内側の壁にあります。

働き: 麦芽糖を最終的にブドウ糖に、タンパク質を最終的にアミノ酸に分解します。

 

4. 栄養の吸収:小腸のひだ「柔毛」

細かく分解されたブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸、モノグリセリドなどは、主に小腸の壁から吸収されます。

柔毛(じゅうもう): 小腸の内壁は、柔毛という無数のひだ状の突起で覆われています。

柔毛の役割: このひだ構造によって、小腸の表面積が非常に大きくなり、栄養素を効率よく吸収できるようになっています。

吸収された栄養素は、柔毛の中にある毛細血管やリンパ管に入り、血液によって全身へと運ばれて、私たちの活動エネルギーや体をつくる材料として使われます。

 

まとめ:消化酵素の働き場所一覧

場所 消化液 消化酵素 何を分解するか
唾液 アミラーゼ デンプン
胃液 ペプシン タンパク質
小腸 すい液 アミラーゼ、トリプシン、リパーゼ デンプン、タンパク質、脂肪
胆汁 (なし) (脂肪の消化を助ける)
小腸の壁 (複数の酵素) デンプン、タンパク質(最終分解)