質量の保存

 

 

化学変化の鉄則!「質量保存の法則」を解き明かす

物質が燃えたり、気体が発生したりする「化学変化」。

見た目がガラッと変わるため、重さ(質量)も変わってしまうように思えるかもしれません。

しかし、実は化学変化には「絶対に変わらないもの」があります。

それが全体の質量です。

この化学の世界の大原則、「質量保存の法則」について、その理由と実験例を詳しく見ていきましょう。

 

1. 質量保存の法則とは?

質量保存の法則とは、フランスの科学者ラボアジエが発見した法則で、その内容は以下の通りです。

「化学変化が起こる際、反応する物質全体の質量と、反応によってできる物質全体の質量は、変化の前後で等しくなる。」

簡単に言えば、「化学変化の前後で、全体の重さは変わらない」ということです。

 

2. なぜ質量は変わらないのか? ―原子の視点で考える―

この法則が成り立つ理由は、化学変化の正体が「原子の組み合わせが変わるだけ」だからです。

化学変化で起こること: 原子たちがパートナーを組み替え、新しい分子を作ります。

化学変化で起こらないこと: 原子自体が消えたり、新しく生まれたり、別の種類の原子に変身したりすることはありません。

つまり、化学変化の前後では、原子の種類と数がまったく同じなのです。

レゴブロックで例えると、

反応前: バラバラのブロック(水素原子4個、酸素原子2個)の重さをはかる。

反応後: それらを組み替えて作った作品(水分子2個)の重さをはかる。

使ったブロックの種類と数が同じなので、当然、重さは変わりません。

これと全く同じことが、化学変化でも起きているのです。

 

3. 実験で確かめる質量保存の法則

実験によっては、質量が変化したように「見える」ことがあります。

しかし、それは気体の出入りが原因であり、法則が成り立っていないわけではありません。

ケース①:質量が変わらないように見える実験(密閉空間)

実験: フタをした容器の中で、うすい塩酸と炭酸水素ナトリウムを混ぜる。

反応: シュワシュワと泡(二酸化炭素)が発生する化学変化が起こる。

結果: 容器全体の質量をはかると、反応の前後でまったく変わらない。

理由: 発生した気体(二酸化炭素)が容器の中に閉じ込められているため、全体の質量は変化しません。

ケース②:質量が「減った」ように見える実験(気体が逃げる場合)

実験: 今度は、フタをしないビーカーなどで、うすい塩酸と炭酸水素ナトリウムを混ぜる。

結果: 反応後の質量をはかると、反応前より軽くなる。

理由: これは質量保存の法則が成り立たないのではなく、発生した二酸化炭素が空気中に逃げてしまい、その分の質量がはかれなくなったためです。

(反応前の全体の質量)=(反応後のビーカーの質量)+(逃げた二酸化炭素の質量)

となり、法則はきちんと成り立っています。

ケース③:質量が「増えた」ように見える実験(気体が結びつく場合)

実験: 銅の粉末を空気中で加熱する。

反応: 銅が空気中の酸素と結びついて、黒い酸化銅ができる。

結果: 加熱後の酸化銅の質量をはかると、もとの銅より重くなる。

理由: これは、空気中の酸素が銅と結びついたためです。

増えた分の質量は、反応した酸素の質量そのものです。

(もとの銅の質量)+(結びついた酸素の質量)=(できた酸化銅の質量)

となり、この場合も法則は完璧に成り立っています。

 

まとめ

化学変化では、原子の組み合わせが変わるだけで、原子の種類と数は変わらない。

そのため、反応に関わる物質全体の質量は、化学変化の前後で絶対に変わらない(質量保存の法則)。

実験で質量が変化して見えるのは、空気中に気体が逃げたり、逆に空気中の気体が結びついたりすることが原因。

「反応に関わるすべての物質」をきちんと追跡すれば、質量保存の法則はいつでも成り立っているのです。