私たちの周りには、スマートフォン、便利な家電、安全な食べ物など、科学技術の恩恵にあふれています。
科学技術は、人類の生活を豊かにし、様々な問題を解決してきました。
しかしその一方で、使い方を誤れば、地球環境や私たちの社会に深刻な影響を及ぼすこともあります。
ここでは、私たちの生活に不可欠な「エネルギー資源」、目に見えない力「放射線」、そして「科学技術の発展」がもたらす光と影について、その全体像を学んでいきましょう。
電気や熱、動力など、私たちが活動するために必要なエネルギーは、エネルギー資源を元に作られています。
これらは大きく2つのグループに分けられます。
正体: 石炭、石油、天然ガスなど。
大昔の植物や動物の死がいが、地中の熱や圧力によって長い年月をかけて変化したもの。
メリット:
燃やすことで大きなエネルギーを簡単に取り出せる。
技術が確立しており、安定して供給できる。
デメリット・課題:
埋蔵量に限りがある: 使い続ければ、いずれはなくなってしまう「枯渇性エネルギー」。
地球温暖化の原因: 燃やすと二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスを大量に排出し、地球温暖化を進行させる。
正体: 太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス(植物など)といった、自然界の力を利用したエネルギー。
メリット:
枯渇の心配がない: 太陽や風など、自然にあるものを利用するため、繰り返し使うことができる。
環境にやさしい: 発電時に二酸化炭素をほとんど排出しないため、地球温暖化対策の切り札として期待されている。
デメリット・課題:
天候に左右される: 太陽光や風力は、天気が悪い日や風が吹かない日には発電できないなど、供給が不安定。
コストが高い: 発電設備の建設などに多くの費用がかかる場合がある。
設置場所の制約: 大規模な発電所を作るには、広い土地や適切な自然条件が必要。
| 化石燃料 | 再生可能エネルギー | |
|---|---|---|
| 例 | 石炭、石油、天然ガス | 太陽光、風力、水力、地熱 |
| 資源 | 限りがある(枯渇性) | 枯渇しない(再利用可能) |
| CO₂排出 | 多い | ほとんどない |
| 安定性 | 安定している | 天候などに左右され不安定 |
放射線とは、原子の中から放出される、高いエネルギーを持った粒子や電磁波のことです。
目には見えませんが、私たちの身の回りの自然界(宇宙、大地、食べ物など)にも存在しており、私たちは常に微量の自然放射線を浴びながら生活しています。
透過力: 物質を通り抜ける性質があります(X線が体の中を写せるのはこのため)。
細胞への影響: 大量の放射線を一度に浴びると、生物の細胞を傷つけ、人体に有害な影響を及ぼすことがあります。
この性質をうまく利用することで、私たちの生活に役立てられています。
レントゲン撮影(X線)やCTスキャン。
がん細胞を破壊する放射線治療。
じゃがいもの発芽防止。
製品の内部に傷がないかを調べる非破壊検査。
原子力発電: ウランの核分裂反応で発生する熱エネルギーを利用して発電します。
発電時に二酸化炭素を出さないという大きなメリットがありますが、事故が起きた際の危険性や、使用済み核燃料(放射性廃棄物)の処理という大きな課題も抱えています。
科学技術の発展は、私たちの生活を劇的に向上させました。
生活の利便性: 家電製品、交通機関、インターネットやスマートフォンによる情報通信技術など。
医療の進歩: 新薬の開発や手術技術の向上により、多くの病気が克服され、平均寿命が延びた。
食料生産: 品種改良や農業技術の進歩により、安定して食料を生産できるようになった。
しかしその一方で、新たな課題や倫理的な問題も生み出しています。
環境問題: 大量生産・大量消費・大量廃棄の社会は、地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、プラスチックごみによる海洋汚染など、深刻な環境問題を引き起こした。
倫理的な問題: クローン技術や遺伝子操作技術は、食料問題の解決などが期待される一方で、生命そのものを操作することへの倫理的な議論が続いている。
社会的な問題: インターネットの普及は、生活を便利にした反面、プライバシーの侵害やSNSでのいじめ、偽情報の拡散といった問題も生んでいる。
科学技術は、私たちの未来を豊かにする強力な道具です。
しかし、それは使い方を誤れば危険な結果を招く「もろ刃の剣」でもあります。
大切なのは、私たち一人ひとりが科学技術に関心を持ち、その仕組みや影響を正しく理解し、どのように利用していくべきかを考え、判断する力(科学リテラシー)を身につけることです。
地球環境を守りながら、すべての人々が豊かに暮らし続けられる「持続可能な社会」を築いていくために、科学技術を賢く利用していくことが、未来を担う私たちに求められています。