酸・アルカリとイオン

 

 

酸性・アルカリ性の正体をイオンで見抜く!

レモン汁はすっぱく、石けん水はぬるぬるする。

これらの性質の違いは、水溶液が「酸性」か「アルカリ性」かによるものです。

そして、その性質を決めている正体こそが、水溶液の中に溶けている目に見えない粒子「イオン」なのです。

ここでは、酸性・アルカリ性がなぜ生まれるのか、そしてその両者を混ぜ合わせると何が起こるのかについて、イオンの視点から詳しく解説します。

 

1. 酸性・アルカリ性の正体はコレだ!

水溶液の性質は、その中に含まれる特定のイオンによって決まります。

酸性の正体=水素イオン (H⁺)

酸性とは、水溶液の中に水素イオン (H⁺) が含まれている状態のことです。

酸と呼ばれる物質(塩酸、硫酸、酢酸など)は、水に溶けると電離して、共通して水素イオン (H⁺) を生じます。

水素イオンの濃度が高いほど、酸性が強い水溶液になります。

【酸の電離の例】

塩酸 (HCl) → H⁺ + Cl⁻ (水素イオンと塩化物イオンに分かれる)

硫酸 (H₂SO₄) → 2H⁺ + SO₄²⁻ (2つの水素イオンと硫酸イオンに分かれる)

【酸性の水溶液の性質】

なめるとすっぱい味がする。

(※実験室では絶対になめないこと!)

青色リトマス紙を赤色に変える。

BTB溶液を黄色に変える。

マグネシウムなどの金属を入れると、水素を発生してとける。

アルカリ性の正体=水酸化物イオン (OH⁻)

アルカリ性とは、水溶液の中に水酸化物イオン (OH⁻) が含まれている状態のことです。

アルカリと呼ばれる物質(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなど)は、水に溶けると電離して、共通して水酸化物イオン (OH⁻) を生じます。

水酸化物イオンの濃度が高いほど、アルカリ性が強い水溶液になります。

【アルカリの電離の例】

水酸化ナトリウム (NaOH) → Na⁺ + OH⁻ (ナトリウムイオンと水酸化物イオンに分かれる)

水酸化バリウム (Ba(OH)₂) → Ba²⁺ + 2OH⁻ (バリウムイオンと2つの水酸化物イオンに分かれる)

【アルカリ性の水溶液の性質】

さわるとぬるぬるする。

(皮膚を溶かす性質があるため危険)

赤色リトマス紙を青色に変える。

BTB溶液を青色に変える。

フェノールフタレイン溶液を赤色に変える。

【参考】中性

水素イオン(H⁺)も水酸化物イオン(OH⁻)も含まれていない、または両者が同じ量だけ存在している状態です。

(例:純粋な水、食塩水など)

リトマス紙の色は変わらず、BTB溶液は緑色になります。

 

2. 中和反応 ―酸とアルカリが出会うとき―

酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜ合わせると、お互いの性質を打ち消し合う反応が起こります。

この反応を中和(ちゅうわ)といいます。

中和の正体は、H⁺ と OH⁻ の合体!

中和反応では、いったい何が起きているのでしょうか?

イオンの視点で見ると、非常にシンプルな反応が起きています。

酸性の水溶液に含まれる水素イオン (H⁺) と、アルカリ性の水溶液に含まれる水酸化物イオン (OH⁻) が結びついて、水 (H₂O) ができる。

これをイオン式で表すと、以下のようになります。

H⁺ + OH⁻ → H₂O

この反応式が、すべての中和反応の本体です。

中和でできるもう一つの物質「塩(えん)」

中和反応では、水ができると同時に、もう一つ別の物質ができます。

それは、酸の陰イオンとアルカリの陽イオンが結びついてできる物質で、これを塩(えん)と呼びます。

【例】塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和

それぞれの水溶液に含まれるイオン

塩酸: H⁺ と Cl⁻

水酸化ナトリウム水溶液: Na⁺ と OH⁻

混ぜ合わせると…

H⁺ と OH⁻ が結びついて、水 (H₂O) ができます。

残った Na⁺ と Cl⁻ が結びついて、塩化ナトリウム (NaCl) ができます。

※塩化ナトリウムは食塩のことですが、理科でいう「塩」は、食塩だけでなく、中和によってできる物質全般を指す広い意味の言葉です。

全体の化学反応式

HCl + NaOH → H₂O + NaCl

(酸) + (アルカリ) → (水) + (塩)

このように、中和反応は、酸とアルカリがそれぞれの性質の元であるイオンを出し合い、水と塩という中性の物質に変化する、非常に重要な化学反応なのです。