細胞分裂

 

 

生命をつなぐ神秘の過程「細胞分裂」を解き明かす!

私たちの体が大きくなったり、すり傷が自然に治ったり、そして親から子へと生命が受け継がれていったり…。

これらの生命活動のすべての根幹にあるのが「細胞分裂」です。

生物の細胞は、ただやみくもに分裂しているわけではありません。

目的によって全く異なる2種類の分裂方法を使い分けています。

ここでは、自分の体を成長させるための「体細胞分裂」と、子孫を残すための特別な細胞を作る「減数分裂」という、2つの重要な細胞分裂について、その仕組みと違いを詳しく解説します。

細胞分裂の準備運動:染色体の複製

どちらの細胞分裂でも、分裂が始まる前には必ず「準備」が行なわれます。

それは、細胞の核の中にある染色体(せんしょくたい)複製すること(コピー)です。

● 染色体とは?:

生物の設計図である遺伝子(DNA)が含まれている、ひも状のものです。

生物の種類ごとに、その形と数は決まっています。

● なぜ複製するの?:

分裂後にできる新しい細胞にも、親の細胞と全く同じ設計図を正確に受け渡すためです。

複製された染色体は、分裂が始まるまで、同じものが2本くっついた形(×のような形)をしています。

 

1. 体細胞分裂
~自分の体を大きくする、全く同じ複製を作る分裂~

体細胞分裂は、1つの細胞が分裂して、自分と全く同じ性質を持つ2つの細胞になる分裂方法です。

目的:

成長:多細胞生物が体を大きくするため。

再生:ケガをした部分を修復したり、古くなった細胞を新しいものに入れ替えたりするため。

無性生殖:アメーバなど、単細胞生物が仲間を増やすときにも行なわれます。

起こる場所:

全身の細胞(体細胞)で起こります。

※生殖に関わる一部の細胞を除く。

分裂のポイント:

核の中に、複製されて2本1組になった染色体が見え始める。

染色体が細胞の中央に一列に並ぶ。

くっついていた2本の染色体が、それぞれ両極に分かれて引っ張られる。

細胞質が2つに分かれ、2つの新しい細胞ができる。

分裂の結果:

できる細胞の数:1つの親細胞から2つの子細胞ができる。

染色体の数:分裂後の子細胞の染色体の数は、もとの親細胞とまったく同じ

【まとめ】

体細胞分裂は「染色体の数が変わらない、自分の完璧な複製(コピー)を2つ作る」分裂!

 

2. 減数分裂
~子孫を残すための生殖細胞を作る分裂~

減数分裂は、主に動物の精子や卵、植物の花粉や胚のうといった、子孫を残すための特別な細胞(生殖細胞)を作るときだけに行なわれる、特殊な分裂方法です。

目的:

有性生殖(雄と雌が関わる生殖)の準備。

起こる場所:

精巣や卵巣など、生殖器官

分裂のポイント:

減数分裂は、なんと連続して2回分裂が起こります!

第一分裂:

複製された染色体は、よく似た形の対(つい/ペア)(相同染色体)ごとにくっついて並びます。

この相同染色体の対が、それぞれ両極に分かれます

この時点で、染色体の数が半分になります。

(←体細胞分裂との最大の違い!)

第二分裂:

第一分裂でできた2つの細胞が、今度はそれぞれ体細胞分裂と同じような分裂をします。

染色体が中央に並び、2本に分かれて両極に移動します。

結果として、合計4つの新しい細胞ができます。

分裂の結果:

できる細胞の数:1つの親細胞から4つの子細胞ができる。

染色体の数:分裂後の子細胞の染色体の数は、もとの親細胞の半分になる。

【まとめ】

減数分裂は「染色体の数が半分になる、特別な細胞を4つ作る」分裂!

なぜ染色体の数を半分にする必要があるの?

それは、精子と卵が合体する受精によって、子どもの染色体の数が親と同じになるようにするためです。

例えば、人間の体細胞の染色体は46本です。

減数分裂によって、染色体が半分の23本になった精子と卵が作られます。

この2つが受精すると、23本 + 23本 = 46本となり、親と同じ数の染色体を持つ子どもが誕生するのです。

もし減数分裂がなければ、世代を重ねるごとに染色体の数が倍々に増えてしまい、大変なことになってしまいます。

比較まとめ表

体細胞分裂と減数分裂の比較
  体細胞分裂 減数分裂
目的 成長、再生 生殖細胞をつくる
起こる場所 全身の体細胞 生殖器官
分裂の回数 1回 連続2回
できる細胞の数 2個 4個
染色体の数の変化 変わらない 半分になる

 

この2つの細胞分裂の巧みな使い分けによって、生物は自らの体を維持し、そして次の世代へと生命をつないでいるのです。