空に浮かぶ白い雲。
一体あれは何で、どうやってできるのでしょうか?
その秘密は、目に見えない空気中の「水蒸気」と、温度によって変化する空気の性質に隠されています。
ここでは、雲のでき方を理解するための2つの超重要キーワード「飽和水蒸気量」と「露点」を中心に、そのメカニズムを詳しく解説します。
まず、雲のでき方を学ぶ前に、空気と水蒸気に関する2つの大切なルールを理解しましょう。
これは、「1㎥の空気が、その温度で含むことができる水蒸気の最大量(限界量)」のことです。
空気という「部屋」に、どれだけ水蒸気という「人」が入れるか、という定員のようなものだと考えてください。
気温が高いほど、飽和水蒸気量は大きくなります。
(暖かい部屋は定員が多い)
気温が低いほど、飽和水蒸気量は小さくなります。
(寒い部屋は定員が少ない)
これは、「空気を冷やしていったときに、空気中の水蒸気が飽和状態(満員状態)になり、水滴に変わり始める温度」のことです。
空気の温度を下げていくと、飽和水蒸気量(部屋の定員)もどんどん小さくなっていきます。
やがて、実際に含まれている水蒸気量(部屋にいる人数)と、飽和水蒸気量(部屋の定員)が同じになります。
この湿度100%になった瞬間の温度が露点です。
露点よりさらに温度が下がると、部屋に入れなくなった人(水蒸気)が外にあふれ出すように、水蒸気が水滴となって現れます。
冷たいジュースを入れたコップの表面に水滴がつく現象。
これは、コップの周りの空気が冷やされて露点に達し、空気中の水蒸気が水滴に変わった(凝結した)ために起こります。
それでは、いよいよ雲ができるまでのプロセスを見ていきましょう。
雲ができる場所は、地面ではなく上空です。
まず、地面付近の空気のかたまりが、何らかの原因で上空へと持ち上げられます。
この空気の上昇する流れを上昇気流といいます。
太陽の熱で地面が温められ、空気が軽くなって上昇する。
暖かい空気と冷たい空気がぶつかり、暖かい空気が冷たい空気の上にはい上がる。
空気が山にぶつかって、斜面を駆け上がる。
上空へ行くほど、周りの気圧は低くなります。
そのため、上昇した空気のかたまりは、周りから押される力が弱まり、風船のように膨張します(断熱膨張)。
空気は膨張するときに、自分の持つ熱(エネルギー)を使います。
そのため、上昇した空気は温度が下がります。
※スプレー缶を使うと缶が冷たくなるのと同じ原理です。
空気の温度が下がると、その空気の飽和水蒸気量(定員)はどんどん小さくなっていきます。
そして、ついに露点に達します。
露点に達した空気は、もう水蒸気のままではいられません。
含みきれなくなった水蒸気が、空気中に浮かぶ非常に小さなチリやホコリを核にして、小さな水滴や氷の粒に変わります。
この小さな水滴や氷の粒がたくさん集まって、空に白く浮かんで見えるもの、それが雲の正体です。
雲ができるプロセスを簡単にまとめると、以下のようになります。
空気のかたまりが上昇する → 膨張して温度が下がる → 飽和水蒸気量が小さくなり、やがて露点に達する → 水蒸気が水滴や氷の粒になり、集まって雲となる
この一連の流れを理解すれば、なぜ晴れた日に山頂にだけ雲がかかっているのか、なぜ夏に入道雲が発生しやすいのかなど、様々な気象現象の理由が見えてきますよ。