鉄がさびて酸化鉄になったり、水素が燃えて水になったりする「化学変化」。
この物質の変身劇を、まるで料理のレシピのように、誰が見ても正確にわかる世界共通の言葉で書き表したものが化学反応式です。
化学反応式は、一見すると難しそうですが、作り方のルールさえ覚えてしまえばパズルのようで面白い分野です。
ここでは、その作り方をステップ・バイ・ステップで丁寧に解説します。
化学反応式を作る上で、絶対に忘れてはならない大原則があります。
それは、「化学変化の前後で、原子の種類と数は変わらない」ということです(質量保存の法則)。
化学変化は、原子がパートナーを組み替えるだけで、原子自体が消えたり、新しく生まれたり、別の原子に変身したりすることはありません。
化学反応式のゴールは、この「原子の数のつじつまを合わせる」ことなのです。
ここでは、最も代表的な例である「水素が燃えて(酸素と結びついて)水ができる」という化学変化をモデルに、化学反応式の作り方を見ていきましょう。
まず、何と何が反応して(反応物)、何ができたのか(生成物)を、日本語で書き出します。
(例) 水素 + 酸素 → 水
矢印(→)の左側に反応物を、右側に生成物を書きます。
次に、ステップ①で書いた物質の名前を、それぞれ化学式に直します。
ここが最初の関門です!
主要な物質の化学式(H₂, O₂, H₂O, CO₂など)はしっかり覚えておきましょう。
(例) H₂ + O₂ → H₂O
これで化学反応式の骨格ができました。
しかし、このままではまだ未完成です。
矢印の左側(反応前)と右側(生成後)で、それぞれの原子の数が合っているかを確認します。
(例) H₂ + O₂ → H₂O
| 原子 | 左辺(反応前) | 右辺(生成後) |
|---|---|---|
| H (水素原子) | 2個 | 2個 |
| O (酸素原子) | 2個 | 1個 |
H原子の数は合っていますが、O原子の数が合いません!
このままでは「原子は消えない」という大原則に反してしまいます。
ここが一番のポイントです。
原子の数を合わせるために、化学式の前に係数(けいすう)という数字を付けて、分子の数を調整します。
化学式そのもの(H₂Oの₂など)は絶対に変えてはいけない!
それを変えると、全く別の物質になってしまいます。
係数は、化学式の前に大きな数字で書きます。
係数は、最も簡単な整数の比になるようにします。
(例) H₂ + O₂ → H₂O
左辺はOが2個、右辺は1個なので、右辺のH₂Oを2倍にしてみます。
H₂Oの前に係数「2」を付けます。
H₂ + O₂ → 2H₂O
係数を付けたことで、他の原子の数も変わった可能性があるので、再度数え直します。
| 原子 | 左辺(反応前) | 右辺(生成後) |
|---|---|---|
| H (水素原子) | 2個 | 4個 (2×2) |
| O (酸素原子) | 2個 | 2個 (1×2) |
今度はO原子の数はそろいましたが、H原子の数が合わなくなりました。
右辺はHが4個、左辺は2個なので、左辺のH₂を2倍にしてみます。
H₂の前に係数「2」を付けます。
2H₂ + O₂ → 2H₂O
最終チェックとして、もう一度すべての原子の数を数えます。
| 原子 | 左辺(反応前) | 右辺(生成後) |
|---|---|---|
| H (水素原子) | 4個 (2×2) | 4個 (2×2) |
| O (酸素原子) | 2個 | 2個 (1×2) |
左右のすべての原子の数がそろいました!
これで化学反応式の完成です。
2Ag₂O → 4Ag + O₂
(銀原子 Ag: 左4個, 右4個 / 酸素原子 O: 左2個, 右2個)
2H₂O → 2H₂ + O₂
(水素原子 H: 左4個, 右4個 / 酸素原子 O: 左2個, 右2個)
2Mg + O₂ → 2MgO
(マグネシウム原子 Mg: 左2個, 右2個 / 酸素原子 O: 左2個, 右2個)
C + O₂ → CO₂
(炭素原子 C: 左1個, 右1個 / 酸素原子 O: 左2個, 右2個)
※この式のように、最初から原子の数が合っている場合もあります。
この4ステップの作り方を何度も練習して、化学変化の「レシピ」を自在に書けるようになりましょう!