エネルギーと仕事

 

 

目に見えない力の源「エネルギー」と「仕事」の正体

ジェットコースターが高い場所から急降下したり、クレーンが重い荷物を持ち上げたり。

これらの現象の裏には、物体が持っている「エネルギー」と、力が物体に作用する「仕事」という、物理学の重要な概念が隠されています。

ここでは、物体の運動に関わるエネルギーの種類と、それらが保存される法則、そして理科の世界での「仕事」の定義について、詳しく解説していきます。

 

1. 2種類の力学的エネルギー

物体が運動するときに関わるエネルギーを、まとめて力学的エネルギーと呼びます。

これには、大きく分けて2つの種類があります。

① 位置エネルギー

高い場所にある物体が持っている、たくわえられたエネルギーのことです。

何で決まるの?:

物体の質量が大きいほど、位置エネルギーは大きい。

物体がある基準面からの高さが高いほど、位置エネルギーは大きい。

イメージ:

ダムの高い場所にたくわえられた水。

その水が低い場所に流れ落ちることで、水車を回すなどの「仕事」をすることができます。

② 運動エネルギー

運動している物体が持っているエネルギーのことです。

何で決まるの?:

物体の質量が大きいほど、運動エネルギーは大きい。

物体の速さが速いほど、運動エネルギーは非常に大きくなります。

(速さの2乗に比例します)

イメージ:

走っているボーリングの球。

その速さと重さによって、ピンを倒すという「仕事」をすることができます。

 

2. 力学的エネルギー保存の法則

ジェットコースターや振り子のように、物体が運動するとき、位置エネルギーと運動エネルギーは互いに姿を変え合います。

物体が上昇するとき:

速さが遅くなる → 運動エネルギーが減少

高さが高くなる → 位置エネルギーが増加

物体が下降するとき:

速さが速くなる → 運動エネルギーが増加

高さが低くなる → 位置エネルギーが減少

ここで非常に重要なのが、力学的エネルギー保存の法則です。

「摩擦や空気抵抗がなければ、位置エネルギーと運動エネルギーの合計(=力学的エネルギー)は、運動の前後で常に一定に保たれる。」

例:ジェットコースター

最も高い位置: 位置エネルギーが最大、運動エネルギーは最小(またはゼロ)。

最も低い位置: 位置エネルギーが最小(またはゼロ)、運動エネルギーは最大。

途中の位置: 位置エネルギーと運動エネルギーを両方持っているが、その合計値はどの地点でも同じ。

減少した位置エネルギーの分だけ、運動エネルギーが増加する(またはその逆)。

このようにエネルギーは、形は変えるものの、その総量は決して消えたり、勝手に生まれたりしないのです。

 

3. 理科の世界の「仕事」と「仕事率」

日常で使う「仕事」という言葉と、理科で使う「仕事」は意味が少し違います。

① 仕事

理科の世界で「仕事をした」と言えるのは、以下の2つの条件がそろったときだけです。

物体に力を加える。

その力の向きに物体を動かす。

【仕事の公式】

仕事 (J) = 力の大きさ (N) × 力の向きに動かした距離 (m)

単位: 仕事の単位は J(ジュール) を使います。

仕事がゼロになる場合:

壁を押しても動かなかった → 力を加えても、距離がゼロなので仕事はゼロ。

荷物を持って水平に歩く → 力の向き(上向き)と移動の向き(水平)が垂直なので、仕事はゼロ。

② 仕事の原理

道具(てこ、滑車など)を使っても、使わなくても、仕事の大きさ(J)は変わらない。

これを仕事の原理といいます。

道具を使うメリット:

小さな力で物体を動かすことができる(力を加える距離は長くなる)。

力の向きを変えることができる。

つまり、道具は仕事を「楽に」してくれるが、仕事そのものの量を「減らして」くれるわけではありません。

③ 仕事率

同じ仕事をするにも、速く終わらせる場合と、ゆっくり終わらせる場合があります。

この「単位時間(1秒間)あたりにする仕事の量」、つまり仕事の効率やペースを表すのが仕事率です。

【仕事率の公式】

仕事率 (W) = 仕事 (J) ÷ かかった時間 (s)

単位: 仕事率の単位は W(ワット) を使います。

1Wとは、「1秒間に1Jの仕事をする」ペースのことです。

同じ量の仕事でも、短い時間で終えた方が、仕事率は高くなります。

これらのエネルギーや仕事の概念は、物理学の最も基本的な土台となる考え方です。

身の回りの運動が、どのようなエネルギーの移り変わりで起こっているのかを考えてみましょう。