電気と磁石。
一見すると全く違うものに見えますが、実はこの二つは切っても切れない深い関係にあります。
電流が磁石の性質を生み出し、磁石と電流が力を生み、そして磁石と動きが電気を生み出すのです。
この不思議な関係を理解すれば、私たちの生活に欠かせないモーターや発電機の原理が見えてきます。
19世紀、科学者のエールステッドは、導線に電流を流すと、そのそばにあった方位磁針が動くことを発見しました。
これは、電流がその周りに磁界(じかい、磁力がはたらく空間)を作ることを意味します。
まっすぐな導線に電流を流すと、その導線を中心とした同心円状の磁界ができます。
この磁界の向きは、右ねじの法則で簡単に見つけることができます。
右ねじの法則:
電流の向きに右ねじが進むようにねじを回したとき、ねじが回る向きが磁界の向きになります。
(親指を立てた右手のこぶしで、親指を電流の向きに合わせると、残りの4本の指が巻く向きが磁界の向き、と覚えると便利です。)
導線を何回も巻いたものをコイルといいます。
コイルに電流を流すと、磁界は強め合い、まるで棒磁石と同じような磁界ができます。
これも右手の法則で、N極がどちらになるかを知ることができます。
コイルでの右手の法則:
電流が流れる向きに右手の4本の指を合わせるようにコイルを握ると、親指が指す向きが、そのコイルの磁界のN極になります。
このように、電流を流すことで磁石の性質を持つものを電磁石(でんじしゃく)といい、モーターやリニアモーターカーなど、様々な場所で利用されています。
「電流が磁界を作る」ということは、もともと磁石がある場所に電流を流すと、お互いの磁界が影響し合って力が生まれる、ということです。
これがモーターの基本原理です。
この力の向きを調べるための法則がフレミングの左手の法則です。
フレミングの左手の法則:
左手の中指、人差し指、親指を、それぞれが直角になるように開きます。
中指を電流の向きに合わせる。
(デン・チュウ・りゅう)
人差し指を磁界の向き(N極からS極の向き)に合わせる。
(ジ・ひと・かい)
そのとき、親指が指す向きが、導線が受ける力の向きになります。
(チカラ・おや・りょく)
モーターの中には磁石とコイルが入っています。
コイルに電流を流すと、フレミングの左手の法則に従って、コイルの片側には上向きの力が、もう片側には下向きの力が働きます。
この「上向きと下向きの力のペア」が、コイルを回転させる力となり、モーターが回り続けるのです。
今度は逆の発想です。
磁石と力(動き)で電流を生み出せるのではないか?と考えたのが科学者のファラデーです。
そして、彼はそれを発見しました。
コイルの中の磁界を変化させると、コイルに電圧が生じ、電流が流れる現象。
これを電磁誘導(でんじゆうどう)といいます。このときに流れる電流を誘導電流(ゆうどうでんりゅう)といいます。
磁界を変化させる方法:
コイルに棒磁石を出し入れする。
コイルのそばで棒磁石を動かす。
※磁石をコイルの中に入れて静止させておくだけでは、電流は流れません。
あくまで「変化」させることが重要です。
このとき流れる誘導電流の向きを調べるのがフレミングの右手の法則です。
フレミングの右手の法則:
右手の中指、人差し指、親指を、それぞれが直角になるように開きます。
親指を導線を動かす向き(力)に合わせる。
人差し指を磁界の向き(N極からS極)に合わせる。
そのとき、中指が指す向きが、誘導電流の向きになります。
発電機は、モーターと逆の構造をしています。
水力や火力などの力でコイル(または磁石)を回転させ続けることで、コイルの中の磁界が絶えず変化し、電磁誘導によって電気が連続的に生み出されるのです。
| 現象 | 内容 | 法則 | 利用例 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 電流が作る磁界 | 電流を流すと磁界が発生する | 右ねじの法則 | 電磁石 | 電流 → 磁界 |
| 磁界中の電流が受ける力 | 磁界の中で電流を流すと力が発生する | フレミングの左手の法則 | モーター | 電流+磁界 → 力 |
| 電磁誘導 | 磁界を変化させると電流が発生する | フレミングの右手の法則 | 発電機 | 力+磁界 → 電流 |
この3つの関係性は、電気を学ぶ上で最も重要で面白い部分です。
身の回りの電気製品がどのような原理で動いているのか、ぜひ考えてみてください。